【プロジェクト最前線】カシオ計算機「プロトレックスマート」 (1/3ページ)

腕時計としての見やすさも重視(左)。中央の地図には、カシオ本社までの坂田さんの通勤ルートが表示されている
腕時計としての見やすさも重視(左)。中央の地図には、カシオ本社までの坂田さんの通勤ルートが表示されている【拡大】

  • 「プロトレックスマート」シリーズの開発を担当するカシオ計算機の坂田勝さん
  • カシオ計算機の関数電卓。世界中の教育機関などに年間2500万台を出荷している

 ■アウトドア特化 タフなスマートウオッチ

 「スマートウオッチ」と聞いて多くの人が想像するのは、メールや電話の着信を伝えたり、ランニングの距離、脈拍を記録したりといったスマートフォンとの連携だろう。だが、カシオ計算機の「プロトレックスマート」はひと味違う。たとえ携帯の電波が届かなくても、GPS(衛星利用測位システム)機能を使い、時計単体で現在位置を把握し続けられる。小さなスマホではなく、登山などでの利用に特化した高機能なアウトドア用腕時計だ。1月18日には、充電せずに最大3日間使える新機種が発売された。

 2016年に発売した第1弾「WSD-F10」は、企画・開発期間が約3年に及んだ。「当社としては珍しい長さだった」と、リスト機器開発部の坂田勝商品開発室長は振り返る。

 ◆世界初の5気圧防水採用

 当時、米アップルが14年に発表した「アップルウォッチ」が注目を集め、スマートウオッチの新しい市場が盛り上がりを見せ始めていた。そうした中で参入を焦らず、時間をかけたのは「『カシオの強み、技術力が生きる製品とは何か』というコンセプトをじっくり固めるため」(坂田室長)だった。

 毎日アップルウォッチを身に着け、使い勝手を試しながら答えを探した。樫尾和雄会長(18年6月死去)に企画案を説明するたび、「何に使えるのか、どう役立つのかをもっと明確に打ち出せ」と叱咤激励されたという。

 模索の末にたどり着いた答えは、1983年から1億本以上出荷している「Gショック」で培った「タフネス(頑丈さ)」と、「腕時計としての基本性能」を両立させることだった。

 雨風にさらされる厳しい野外環境に対応するため、スマートウオッチとして当時は世界初だった5気圧防水を採用。耐衝撃・耐振動・耐高温など米軍の物資調達規格に準拠したタフな造りで、気圧計・高度計・コンパスの機能も搭載した。

 また時刻は常に表示し、画面を触ったり傾けたりする必要がない仕様にした。そのため、アプリを動かすCPUとは別に時計・センサー用のマイコンを搭載して省電力化を図った。

高尾山に毎週登り試験