ルノー「日産は検察の手先」 仏紙、ゴーン被告めぐる交信報道

フランス北部のルノーの工場を訪れたフランスのマクロン大統領(左)とゴーン被告=2018年11月8日(ロイター=共同)
フランス北部のルノーの工場を訪れたフランスのマクロン大統領(左)とゴーン被告=2018年11月8日(ロイター=共同)【拡大】

 【パリ=三井美奈】フランスの10日付日曜紙ジュルナル・デュ・ディマンシュは、日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告(64)の捜査をめぐる日産とルノーの電子メールの交信記録を報じた。日産がルノー社員に東京地検への捜査協力を再三要求し、ルノー側が「検察の手先」なのかと不信をあらわにしていたという。

 同紙によると、日産の担当者は昨年12月14日、日産に勤務経験のあるルノー社員に対し、「捜査であなたの名前が出た。検察はあなたと話したがっている。われわれは聴取に協力してくれれば感謝する。東京への旅費はこちらで負担する」と訪日を促した。

 この社員が「パリからビデオ聴取に応じる用意がある」と伝えると、日産は、検察は外国で聴取権限がないとして「あなたが来日するのが最良策」と再度要求。断られると、日産幹部が弁護士の立ち会いの下でビデオで聞き取り調査をしたい、と打診した。「状況は切迫している。調査に応じないのは、あなたとルノーのもう一人の社員だけだ」と迫った。

 ルノー側弁護士は1月、日産が無断で社員に接触したことに抗議し、日産は「事実上、検察の手先になった」と批判。日産がブラジルやレバノンでゴーン被告が使っていたマンションを調査をしようとしたことにも不快感を示した。

 両社は、オランダにある統合会社をめぐっても対立。統合会社からのルノー幹部に対する報酬を日産が独自に調査したことに、ルノー側は不満を示した。