ガスの顧客めぐり“大津の陣” 大阪ガスが運営権取得、リベンジ狙う関西電力 (1/3ページ)

事業説明後に記念撮影を行う(右から)大阪ガスの本荘武宏社長、大津市の越直美市長、ガス会社「びわ湖ブルーエナジー」の深野裕一社長
事業説明後に記念撮影を行う(右から)大阪ガスの本荘武宏社長、大津市の越直美市長、ガス会社「びわ湖ブルーエナジー」の深野裕一社長【拡大】

  • 大津市のガス事業を運営する同市企業局。4月から民営化し、ガス小売りの全面自由化に挑む

 関西で唯一の公営ガス、大津市のガス事業が、4月から大阪ガスを中心とした新会社に移管される。全国の公営ガス事業者で2位、経営内容も民間大手にひけをとらなかったが、ガス小売りの全面自由化時代に民営化が不可欠と判断した。この“優良物件”をめぐっては昨年、大ガスと関西電力が争奪戦を展開。軍配は大ガスにあがったものの、関電はすぐさま同市でガス事業への本格参入を表明。大津市で両社の戦いの第2幕が始まった。

 公営企業ゆさぶる自由化

 「安全、安心、安価なガスを提供してもらえると期待している」(越直美大津市長)。「官民の良いとこ取りができる豊富なメニューで安心安全なサービスを展開する」(本荘武宏大ガス社長)

 昨年末、大ガスなどの企業連合と同市が立ち上げた新会社「びわ湖ブルーエナジー」の事業説明で、両者はサービスと価格に対する期待を口にした。同市が公営事業からの転換を決断した理由の一つが、民営化による価格、サービスの充実だったからだ。

 平成29年4月のガス小売り全面自由化以降、電気・通信とのセット販売など民間業者はさまざまなサービスを展開。料金プランも多様になった。ただ、公営企業には規制があり、セット販売は不可能。料金も議会の議決を経なければ変更できず、機動性を欠く。

 実際、同市によると、家庭向けに先行して自由化が始まった企業などの大口需要家向けでは、苦戦を強いられる場面が増えていたという。「競合相手は電気とのセット販売を提案しているフシがあり、ガス価格をぐんと下げてくる。うちはガスしか提案できず、相見積もりで不利」。同市関係者はこぼす。

 29年度には大口顧客の企業4社が他社のガスに乗り換え。他社に乗り換えられたのは、同市のガス事業で初めてだ。さらに30年度も3社が契約解除。計7社の離脱で、同市の年間ガス販売量の約15%に相当する規模の需要が消失したことになる。「家庭向けでも同じことが起こりうる」。市の危機感は強い。

民営化で攻勢