【マカオ変貌(上)】ラスベガス型IR、アジアに新風 視線の先に日本市場 (3/3ページ)

電飾が輝くザ・パリジャン・マカオ=マカオ(沢野貴信撮影)
電飾が輝くザ・パリジャン・マカオ=マカオ(沢野貴信撮影)【拡大】

  • 「ザ・パリジャン・マカオ」のロビー=マカオ(沢野貴信撮影)

 メルコは昨年、蝶の繭のような外観の高級ホテル「モーフィアス」を開業。総工費は約11億ドル(約1200億円)とされ、「メルコのギャンブル」(米誌フォーブス)とも評されたが、中国の新興富裕層を取り込む狙いが当たり、客室稼働率はほぼ100%を維持している。

本場の売上高抜く

 マカオでは第二次世界大戦後、約40年にわたりスタンレー・ホー氏の企業がカジノ事業を独占し、多様な発展が阻害されてきた。マネーロンダリング(資金洗浄)の温床との疑いが絶えず、治安悪化も招いた。

 転機となったのは02年、マカオ政府が競争原理を導入し、カジノ事業の免許を複数の企業に開放したことだ。海を埋め立てられた広大なコタイ地区はIRの実験場と化し、ラスベガス型の大型施設が次々に誕生。中国本土の経済発展の追い風も受け、マカオは2000年代に年率20%前後の驚異的な経済成長を続けた。06年にはカジノ売上高でラスベガスを抜いた。

 マカオで地歩を固めたサンズ、メルコは今、24年にもIRが開設される日本・大阪に視線を注ぐ。昨年末から今年初めにかけ、両社を含む複数のIR企業が大阪府の松井一郎知事らを訪問し、進出への意欲をアピールした。

 米中勢が競う中で変貌を続けるマカオ市場は、新たに生まれる日本のIRに多くの示唆を与えている。