2019春闘

自動車業界は先導役不在 新方針の実効性は (1/2ページ)

 ■自動車総連が会見 トヨタ、ベア要求額明示せず

 自動車大手の労働組合は13日、経営側に要求書を提出し、2019年春闘交渉がスタートした。トヨタ自動車労働組合が、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の要求額を明示せず、トヨタの労使が果たしていた業界の「先導役」が不在となる。格差是正を重視した労組側の新しい取り組みの真価が問われるが、米中貿易摩擦など世界経済の状況は不透明感を増しており、交渉環境は厳しい。

 自動車関連企業の労組でつくる自動車総連(1077組合、77万9000人)の高倉明会長は13日、東京都内で会見し、「賃金改善分(ベア)の上げ幅だけでなく、絶対額を重視した取り組みを従来以上に進める必要がある」と強調した。

 自動車大手と取引先の中小企業などの格差是正が狙いで、自動車総連は5年ぶりに統一要求額を掲げなかった。各労組が、それぞれの置かれている状況を踏まえ、自主的に要求額を設定することが重要だとの考えからだ。

 こうした流れの中、トヨタ労組は全組合員平均で、定期昇給分や諸手当などを含めて、1万2000円の賃上げを要求。これにはベアも含まれているが、その具体額は明示していない。背景には、国内最大の製造業として春闘交渉の相場形成をリードしてきたが、その“弊害”が目立っていたことがある。

 格差是正進まぬ弊害

 トヨタ労組の具体額が伝わると、中小企業の労組はそれを基準に要求額を決めるため、格差是正が進まないという問題認識が強まっていた。

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