ホンダが22年に英工場閉鎖 19日発表

英南部スウィンドンにあるホンダの工場を出発する運搬車=18日(AP)
英南部スウィンドンにあるホンダの工場を出発する運搬車=18日(AP)【拡大】

 【ロンドン=岡部伸】ホンダは、英南部スウィンドン工場を2022年に閉鎖し、欧州生産から撤退する。英メディアによると、19日午後、記者会見を開き、正式発表する。英国の欧州連合(EU)からの離脱に伴う混乱が背景にあるとみられる。同工場はホンダの欧州唯一の四輪車の生産拠点。日本国内の工場に生産を移す公算が大きく、EU離脱で揺れる英国での生産から撤退する初の大手日本車メーカーとなる。日産自動車も英国の生産縮小を発表しており、3月末のEU離脱を控えて英国経済の先行き不透明感が一層深まりそうだ。

 スウィンドン工場は1985年に設立され、92年から乗用車の生産を始め、2018年は主力車シビックを英乗用車生産の10%強に当たる約16万台を生産した。米国や日本向けにも輸出していた。従業員数は約3500人。欧州事業本部は維持するという。

 ホンダは、英工場で生産する自動車の一部部品をEUから輸入し、完成車の一部はEUなどに輸出している。同社は英議会の公聴会などで、EU離脱後、円滑な貿易体制が維持されるか懸念を表明しており、英フィナンシャル・タイムズ紙は2月1日に日本とEUの経済連携協定(EPA)が発効し、EUは日本車に課している10%の関税を8年目に撤廃することから、日本の自動車メーカーがEUに無関税で輸出できる見通しになったことが、ホンダの工場閉鎖の「決定的要因になった」と報じた。

 日産自動車は今月、英国中部のサンダーランド工場で予定していたスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」の次期モデルの生産を見送り、日産自動車九州(福岡県苅田町)で生産すると発表。ドイツのBMWも、英国での小型車「ミニ」の生産を4月1日から約1カ月間休む。英ジャガー・ランドローバーも4月上旬に一時生産停止に踏み切る。ホンダも1月、離脱の影響でスウィンドン工場で4月に6日間生産を見合わせると発表した。