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携帯3社、金融で顧客争奪戦 脱通信依存を加速 QR決済など基盤強化

 携帯大手3社が非通信事業の強化を本格化させている。KDDI(au)が4月にスマートフォンを使ったQRコード決済「auペイ」を開始するなど、各社は金融分野を主戦場に携帯料金に頼らない収益構造への転換を目指す。QR決済をはじめとする金融サービスは顧客との重要な接点となるだけに、通信事業で築き上げた会員基盤を生かせるか、真価が問われる。

 「われわれの財布にはすでに1000億円超の残高がある」。KDDIの高橋誠社長は金融サービスにおける自社の強みを強調する。

 同社は、携帯電話契約者に付与されたポイントなどを確認できるスマホアプリ「auウォレット」を展開。付与されたポイントはすでに1000億円相当に上っており、このポイントを加盟店でのQR決済でも使えるようにすることで円滑な利用拡大を見込む。

 携帯電話の国内市場が飽和する中、回線契約を獲得するための手段だった非通信サービスは、将来の収益の柱としての色彩を強めている。政府からの通信料金の値下げ要請もあり、非通信分野の競争力は差別化にも欠かせない。

 国内シェア1位のNTTドコモは回線契約の枠を超えたポイント制度で規模拡大を目指す。ドコモのQR決済「d払い」は回線契約を必要としておらず、アプリをダウンロードするだけで利用できる。会員情報や実店舗の購買データを集め、人工知能(AI)を活用した生活支援サービスなどにつなげる狙いだ。

 またソフトバンクは、親会社のソフトバンクグループ傘下の10兆円投資ファンドが強みだ。ユニコーン企業(企業価値10億ドル=約1100億円=超の未上場企業)など、ファンドの投資先企業が持つ新技術や海外で成功したサービスをいち早く取り入れ、国内に展開する。ソフトバンクなどが展開するQR決済「ペイペイ」も、投資先のインド最大の電子決済サービス「Paytm(ペイティーエム)」の技術が基盤だ。

 携帯大手による金融サービスは決済以外にも広がる。じぶん銀行の子会社化や、カブドットコム証券への株式公開買い付け(TOB)などを進めるKDDIの動きが象徴的だ。ただ、無料通信アプリ大手のLINE(ライン)などIT企業も個人向け金融サービスを拡大中。楽天も4月に金融関連子会社を集約する予定で、携帯事業参入で同じ土俵に乗り込んでくる。

 さらに、今後は「Suica(スイカ)」をはじめとするICカードなどのキャッシュレス決済との主導権争いも強まりそうだ。

 新規契約を開拓しつつ、非通信のサービス力でいかに顧客を囲い込み経済圏を構築できるかが、携帯各社の生き残りのカギを握る。(高木克聡)

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