現場の風

大建工業 和紙原料の畳表、生産体制を強化

 □大建工業上席執行役員 国内事業本部長兼内装材事業部長・吉田和雅さん(60)

 --イグサによる畳表の供給量が大幅に減少している

 「国内ではほとんどイグサが生産されておらず高品質のイグサは熊本に残っているぐらいだ。中国でも採算が合わないといった理由から生産農家が減ってきており、結果として市場が減退している。また、住居内のバリアフリー化も大きな影響を及ぼしている。イグサの畳は厚く設置するに当たっては専門業者に依頼する必要があり、余分な施工コストが発生するからだ」

 --一方、工業化畳表は伸びている

 「当社は機械ですいた和紙を原材料にした畳表を生産し『健やかおもて』というブランドで展開している。樹脂をコーティングすることなどで、吸・放湿力を備えるなど畳の良さを残しながら、イグサに比べ約3倍の強度を実現。日焼けに強くカビ・ダニが発生しにくいといった特性もあり、ピンクやブルー、黒といった特徴的な色を出せる点が売り物だ。住宅メーカーの間では、フローリングの上に縁がないタイプの薄い畳を敷く事例が増えてきた。カーペットみたいな感覚で使用できる点がアピールポイントとなっている」

 --事業はどう推移しているのか

 「年間130万~140万帖を生産している。この5年間で3割ほど増えた。畳全体の市場が減少しているので、健やかおもての比率は急激に向上している」

 --今後の戦略は

 「生産体制を強化する。岡山と会津若松(福島)に生産拠点があるが、4月以降に会津若松の能力を35%増強する。拡大が見込める需要先は、ホテルや寺の宿坊。外国人観光客の間で『伝統的なものに触れたい』といったニーズが強いからだ。中長期的には住宅着工戸数が減少するので、当社は商業分野の開拓を重点課題に掲げている。健やかおもては、それに向けての武器になる」

【プロフィル】吉田和雅

 よしだ・かずまさ 京大農卒。1982年大建工業入社。2013年執行役員。18年4月から現職。京都市出身。

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