AIで振り込め詐欺発見 銀行連携でより賢く 情報通信機構が開発

ATM詐欺防止
ATM詐欺防止【拡大】

 人工知能(AI)を使って振り込め詐欺などの不正送金を高精度に検知するための仕組みを情報通信研究機構が開発した。複数の金融機関が持つ多くの取引データを利用してAIの性能を向上させる実験を行い、詐欺被害を減少させるのが狙い。

 振り込め詐欺の対策として、多くの銀行では行員が取引明細や口座情報を調べ、普段と違う場所でATM(現金自動預払機)を利用していたり、短期間に繰り返し現金を引き出したりするケースなど、異常を示唆する取引を手作業で探しているのが現状だ。

 一部の銀行では、怪しい取引の特徴をAIに学習させる取り組みを進めている。ただ、AIはデータ量が多いほど精度が上がるため、小規模の地方銀行などでは十分な量のデータが得られず、精度向上に限界がある。複数の銀行から集めればデータは増えるが、プライバシーの保護やデータの機密性の確保が壁となる。

 そこで、同機構はデータを外部に出さずに、共通のAIを学習させる仕組みを開発した。まず、各銀行がそれぞれのデータを使ってAIを学習させ、その結果を暗号化。各行から寄せられた学習結果を暗号化したまま統合し、より賢いAIを実現する。

 同機構ではこの仕組みの実証実験に参加する金融機関を募集しており、2021年度末までに複数機関による学習システムを構築する計画だ。

 被害が数千万円に及ぶこともある振り込め詐欺では、複数回にわたって現金が引き出されるケースがある。最初の異常な取引を検知してすぐに口座凍結などの対策をとれば、被害を抑えられるため、同機構はより早く警告を出せるようプロセスの高速化も目指す。