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トヨタを悩ます合意なき離脱 英国強化の矢先…現実と不安の板挟み (1/2ページ)

 欧州連合(EU)からの離脱をめぐり混迷が深まる英国で、トヨタ自動車が不安と現実の板挟みになっている。「合意なき離脱」となった場合、年間約13万台を生産するトヨタの英国工場への影響は甚大。同様に英国に工場を持つ日産自動車やホンダは生産計画の見直しを発表したが、トヨタはまだ動きをみせていない。背景には英国工場の強化を始めたばかりで、欧州販売にも追い風が吹いているという事情があり、トヨタは悩ましい立場に置かれている。

 部品供給に影響必至

 「影響の大きさと積み増せる在庫のバランスを考えると、考え得る準備をしても影響なく乗り切ることは難しい」。トヨタが6日に開いた決算会見で、白柳正義執行役員は合意なき離脱への不安をあらわにした。

 トヨタの競争力の源泉である「トヨタ生産方式」は、各工程で必要なものを必要な量だけ停滞なく生産する手法「ジャスト・イン・タイム」に基づく。このため、工場が抱える部品の在庫は必要最小限に抑えられており、通常は4時間分しかないという。

 しかし合意なき離脱で、英仏間のドーバー海峡をつなぐユーロトンネルで新たに通関手続きが必要となれば大渋滞が起き、部品の供給が途絶えるのは必至だ。

 英国工場には200万の部品が150台のトラックで運び込まれているが、このうち3分の1に相当する50台はEU域内から。トヨタの友山茂樹副社長は同じ決算会見で「一つでも入ってこないと(生産を)停止せざるを得ない」と明かした。

 好調な欧州販売

 しかしそれでもトヨタは「生産体制の見直しは検討していない」(白柳氏)としている。背景にあるのはトヨタにとっての英国生産の位置づけだ。

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