【Bizクリニック】具体的運営 思い描けるサイトは売れる

文化社近藤浩史代表取締役社長
文化社近藤浩史代表取締役社長【拡大】

 ウェブサイトのM&A(合併・買収)に当たり、評価ポイントとなるのは具体的な運営をイメージできるかどうかだ。筆者はウェブサイトM&A市場の健全化と発展を目的に2014年に設立された一般社団法人日本サイトM&A協会に、東海地区唯一の会員として参加している。同協会では毎月、情報交換会を開き、メンバーが売り案件を持ち寄って情報開示している。その情報をもとに「具体的な運営のイメージ」が何であるかを明らかにしてみたい。(文化社 代表取締役社長・近藤浩史)

 売り案件で最初に開示される基本的なデータは「売却希望額」「月間売り上げ」「月間利益」「サイトの内容」「月間PV(ページビュー)数」など。これらから、そのサイトの評価額を概算する。

 評価の基本金額は、月間利益の30カ月分(時期により需給関係で大きく変動する。3年前は24カ月分で計算した)。なお利益は「売り上げ」から、ネットショップのような仕入れが発生する場合は「仕入れ額」を引き、さらに「運営経費(人件費を含む)」を引いた額となる。

 基本金額にサイトの内容や運営年数、会員数、サイトの将来性などを加減する。評価額が売却希望額と近いか売却希望額以上であり、自社で運営したい場合や売却先が見つかりそうな案件はサイトアドレスの開示を求め、サイト内容を詳しく確認する。

 最も気をつけなければならないのが人件費だ。サイト運営に何人関わる必要があるかを注意深くみる。売却側は、運営に必要な人数を最小で申告する場合が多い。人数が多ければ人件費(経費)が増え、利益は減少する。当然、評価額は大きく下がる。筆者が社長を務める文化社は2001年から「看板ショップ」という屋号でネット通販を行い、独自ドメインショップのほか、楽天市場などのモールにも出店しているので、どの程度の人数で運営ができるかをおおむね把握できる。

 また、売り上げの基になるアクセス数にも注意が必要だ。申告されるアクセス数が、リスティング(検索連動型)広告によるものか、検索による自然流入か、また自然流入でも、ビッグキーワードによるものか、ロングテールによるものかなどを調べ、長期にわたって安定的にアクセス数があるかどうかを確認する必要がある。

 このほか、個人で運営しているネットショップなどでは、いま運営している人でなければできないサイトが結構多い。例えば、趣味のグッズを販売する店だ。趣味のものを扱う場合、購入者もその趣味に詳しい人が多く、ショップに届く質問なども専門的な事柄についての質問になる。このようなサイトを買収したとしても、普通の人には答えられないケースが多く、客足が自然と遠のいていく。

【プロフィル】近藤浩史

 こんどう・ひろし 愛知県立一宮高卒。1974年に21歳で独立し、屋号「文化社」として看板業を個人創業。88年有限会社、2004年株式会社に改組。看板のカタログ通販、ネット通販、さらにはウェブサイトM&A(合併・買収)などの手法で業務を拡大。日本サイトM&A協会認定M&Aアドバイザー。66歳。愛知県出身。