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どこへ行く、日本のアイスホッケー (1/2ページ)

 何と言っていいのだろう。今季限りで廃部となるアイスホッケーの日本製紙クレインズがついにアジア・リーグのプレーオフ決勝にまで進んだ。「一試合でも長く氷の上にいたい」という選手たちの執念をみる。

 9日から5回戦制で実施される決勝では、ロシアのサハリンを相手に2013~14年シーズン以来5シーズンぶり5度目の優勝を目指す。1、2戦は本拠地の北海道釧路市で、3戦以降はユジノサハリンスク。レギュラーシーズンは4位に終わったものの、一戦、また一戦と勝ち上がった彼らの思いは、多くのファンの心をつかんだ。ぜひ、有終の美を飾ってもらいたい。

企業チームの宿命

 「先輩、取り上げてほしいものがある」。大学の後輩から連絡があったのは1月末だ。日本製紙に入社以来、クレインズのサポーターを続ける後輩は、レギュラーシーズン最終戦を見届けに日光まで出かけた。

 そこで見たのは、クレインズと栃木日光アイスバックス、チームの垣根を越えた交流と観客の声援だったという。「存続してほしい」と署名を求め、「逆境をビッグチャンスに」という横断幕も掲げられていた。

 アイスバックスは古河電工アイスホッケー部廃部を受けて市民クラブとして再生、日本唯一のプロアイスホッケー・クラブである。心境がよく分かる。

 日本のスポーツは今も昔も企業に多くを支えられている。企業スポーツは社員の福利厚生、グループ統合の象徴として存在し、クレインズもまた日本製紙の福利厚生、象徴としてのクラブ活動にほかならない。存続が企業の盛衰、経済状況に左右されることは致し方あるまい。

 昨年12月、クレインズのオーナーである安永敦美・日本製紙釧路工場長が記者会見し、今シーズン限りで69年の歴史を誇るアイスホッケー部の廃部を発表した。「昨今の紙の需要低迷による経営環境の悪化」にともない、「運営続行が困難」になったことを理由に上げた。

 苦渋の決断であったことは言うまでもない。日本製紙だけではなく、愛称の素となった「タンチョウ」とともに“氷都”釧路の象徴でもある。地元に根ざす企業として、これほどの社会貢献を手放すのはつらい。

 十條製紙時代は決して強いクラブではなかった。日本リーグを収束し、ロシア、中国、韓国もまじえて03年に創設されたアジアリーグ参加以降、本社の厚い支援と地元の熱い声援を受けて強豪に育ってきた。

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