【現場の風】グリーンボンドで社会の変化支えたい


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 □三菱UFJモルガン・スタンレー証券デット・キャピタル・マーケット部長 池崎陽大さん(47)

 ――企業や自治体が環境保全対策の資金調達のため発行する債券「グリーンボンド」の起債が増えている

 「2018年は世界の起債額約1308億ドル(約14兆円)に対し、日本は約41億ドル。上位の中国やフランスは国策で伸ばしてきた一方、日本の発行体は民間中心で成長余地が大きい。今年は主要国・地域(G20)会議、来年は東京五輪・パラリンピックが控え、こうした取り組みを世界に発信する機会が増えるだろう」

 ――最近のグリーンボンドをめぐる傾向は

 「今年度から個人向けの発行が増えてきた。国連の持続可能な開発目標(SDGs)や異常気象をきっかけに、環境問題を身近に捉える個人投資家が増えてきた。小田急電鉄が1月に発行した債券は資金使途を電力消費量削減効果のある車両への更新などに限り、沿線住民向けに発売された。ファン獲得も期待できる事例だ」

 ――グリーンボンドに対する投資家の需要は

 「どうせ資金を出すのであれば社会貢献につなげたいという意識が強い。生命保険会社や資産運用会社だけでなく、学校法人や財団もいる。グリーンボンドでの運用をアピールし、環境分野に関心を持つような学生に来てほしいという大学側のニーズにも合致している」

 ――発行体となる企業の動向は

 「最近は温室効果ガスの削減効果の高いビルの建設が増えており、特に不動産は積極的だ。債券発行を通じて環境への取り組みを発信できる点でも、グリーンボンドは控えめな日本企業にぴったりの商品だ」

 ――今後の取り組みで強化したいことは

 「欧米が引っ張ってきた分野だが、日本からもしっかり情報発信していきたい。グリーンボンドは投資リスクを嫌う個人投資家にも向いている。投資家の裾野を拡大し、金融面から社会の変化を支えていきたい」

【プロフィル】池崎陽大

 いけざき・はるひろ 同志社大商卒。1994年4月東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2009年6月から三菱UFJモルガン・スタンレー証券デット・キャピタル・マーケット部マネージング・ディレクター、18年6月から現職(兼務)。大阪府出身。