突然の拘束、震える中国駐在員 容疑内容明かさず 習氏訪日の障害に (1/2ページ)

日系企業が集まる中国・上海の中心部(ブルームバーグ)
日系企業が集まる中国・上海の中心部(ブルームバーグ)【拡大】

  • 中国当局が拘束した日本人の状況

 中国当局が大手商社、伊藤忠商事の日本人社員をスパイ容疑で約1年拘束していることが判明し、日本人の対中警戒感が高まっている。中国はどのような行為が罪に当たるのか明らかにしておらず、日中両政府が目指す6月の大阪での20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせた習近平国家主席の「訪日成功」(日中政府関係者)の障害となる可能性がある。

 「中国の法律に違反した疑いで対処した」。中国外務省の耿爽副報道局長は2月15日の記者会見でこう述べるにとどめ、容疑内容は明かさなかった。

 複数の関係者によると、広東省広州市の国家安全局が昨年2月に40代の伊藤忠商事の日本人社員を拘束した。共同通信は中国外務省を通じ、国家安全省に事実関係を問い合わせたが、今月6日時点で回答はない。

 習指導部は社会統制を強めるため「国家安全法」や「反スパイ法」を制定し、外国人も対象に締め付けを強めている。反スパイ法が規定するスパイ行為には「外国機関への国家機密の提供」などに加えて「その他」の条項があり、当局の恣意(しい)的運用を公認する内容だ。

 中国に駐在する日系商社社員は「日本人同士の飲み会では拘束の話題で持ちきり。何が罪に問われるか分からないため、自分で注意するしかない。不気味だ」と話す。2015年以降、スパイ行為に関わったなどとして拘束され、解放されていない日本人は少なくとも9人に上る。

 習氏は国家副主席だった09年に訪日した際、中国側の強い要望により通常のルールに反する形で天皇陛下との特例会見を実現させ、日本で抗議活動が起きた苦い経験がある。習指導部はトランプ米政権と激しく対立する中、日本との関係を安定させたい思惑で、友好的な雰囲気づくりに力を注いでいるとされる。

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