メルカリ、PC向けサービス強化へ シニア世代の利用拡大狙う

 フリーマーケットアプリ大手のメルカリは11日、事業説明会を開き、決済方法などを一部制限しているパソコン版を強化する方針を明らかにした。今年中に順次、スマートフォンのアプリと同じ機能に拡張していく。スマホアプリで成長したメルカリがパソコン版を強化するのは、スマホを持たない高齢者層への利用を拡大する狙いがある。

 メルカリはアプリ版ではコンビニ決済など複数の支払い方法を採用しているが、パソコン版はクレジットカード決済のみ。配送方法も限定されており、取引の99%はアプリ版で行われている。ただ、スマホに不慣れな高齢者は画面が大きく、操作に慣れたパソコン版の方が利用しやすいという面がある。

 メルカリは高齢者向けの利用促進イベントや新聞の広告チラシを使った宣伝などで利用層の拡大を図ってきた。メルカリによるとフリマアプリの市場拡大は20~30代が牽(けん)引(いん)してきた一方で、平成30年のメルカリの利用実績では、60歳以上の高齢者による出品が前年比で約2・5倍に急増しているという。

 メルカリが実施した高齢者を対象にした調査では、「(メルカリを使うことで)社会とのつながりを感じる」と答えた60代以上の割合は20代に比べ約3倍になっているという。田面木宏尚執行役員は「利用者との接点を高め、高齢者にもメルカリを使ってほしい」と話した。

 ただ、メルカリはスマホで撮影した画像を人工知能(AI)で認識し、商品名や市場価格などがすぐわかるようにするなど、スマホの特性を生かして利便性を高めてきた。スマホ決済のメルペイなどでスマホ連動のサービスをさらに拡充する中、スマホで培った利便性を生かしたパソコン版サービスを構築できるか手腕が問われる。