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ウェブサイトの隠れた“宝の山”発掘 (2/2ページ)

 このほか戦略的なサイト構築ができていたり、しっかりしたシステムが作られている場合、赤字でも同様のサイトを新たに作る費用と売却価格とを比べて安上がりなら、購入者が現れる。

 一方、黒字サイトの場合をみると、「サイトの評価の基本となる金額は月間利益の30カ月分」という一般論からかけ離れた金額で売却された事例がある。古い話になるが、今から16年前の2003年に、楽天は日立造船の子会社で旅行予約サイト「旅の窓口」を運営するマイトリップ・ネットを323億円で買収した。

 マイトリップ・ネットの売上高は32億円、経常利益は11億円だった。買収金額を利益で割ると約30年分になる。「旅の窓口」の資産は会員数283万人、登録宿泊施設数1万1673施設といった無形資産がほとんどを占めていた。だが、旅行予約サイトナンバーワンで楽天トラベルの最大の競合先だったことに加え、まだ当時、会員数が400万人程度と発展途上だった楽天市場とのシナジー効果などを考慮して、楽天が高く評価した。

 ウェブサイトの価値はこのようにケース・バイ・ケースで、評価が難しい場合もある。逆にそれだからこそ、埋もれた宝の山を発掘することができる。

【プロフィル】近藤浩史

 こんどう・ひろし 愛知県立一宮高卒。1974年に21歳で独立し、屋号「文化社」として看板業を個人創業。88年有限会社、2004年株式会社に改組。看板のカタログ通販、ネット通販、さらにはウェブサイトM&A(合併・買収)などの手法で業務を拡大。日本サイトM&A協会認定M&Aアドバイザー。66歳。愛知県出身。

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