【山本隆三の快刀乱麻】蜜月だったトヨタ、テスラ競合に (1/4ページ)

テスラのイーロン・マスクCEO(左)とトヨタの豊田章男社長=2010年11月、東京都港区南青山
テスラのイーロン・マスクCEO(左)とトヨタの豊田章男社長=2010年11月、東京都港区南青山【拡大】

  • トヨタ自動車との新会社設立について説明する、パナソニックの人見健部長(左)=1月22日、名古屋市中村区
  • トヨタ自動車の内山田竹志会長=2015年4月

 ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)に力を入れているトヨタ自動車は最近まで、電池だけで走る純電気自動車(BEV)には冷淡だった。難しい制御技術を必要とせず、部品数も少ないBEVはトヨタが取り組むまでもないレベルの技術と考えていたのかもしれない。(常葉大学経営学部教授・山本隆三)

 トヨタの内山田竹志会長は2017年9月、米ニュース専門チャンネルCNBCのインタビューで、BEVに関して次のようにコメントしていた。「BEVに反対しているわけではないが、BEVには航続距離、電池寿命の問題がある。ただ、米国、中国のように政府機関がBEV推進政策を採ると、自動車メーカーは政府機関の意向に従うか、あるいは廃業するリスクを取るかを迫られる。トヨタも例外ではないが、BEVが消費者に早く受け入れられるかは疑問かもしれない」

 BEV普及に懐疑的だったトヨタが、かつて一度だけBEVを製造したことがある。トヨタは10年、米国のBEVメーカー、テスラの株式を米ナスダック市場への上場直後に5000万ドル購入し、BEVと関連部品の開発で協業関係に入る。この協業により開発されたのがトヨタのSUV(スポーツ用多目的車)、RAV4のBEV版だった。12年から米カリフォルニア州で販売されたが、販売目標を達成することなく製造は終了した。

 トヨタは16年末までにテスラ株を全て売却し、提携関係は解消された。ちなみに、上場時に17ドルだったテスラ株は、16年末には200ドルを超えていたので、株式価値は6年間で10倍以上になったことになる。

 トヨタの豊田章男社長が、テスラのイーロン・マスクCEOと意気投合し、「テスラが持つチャレンジ精神、素早い意思決定、柔軟性をトヨタも学ぶ必要がある」として始まった提携だったが、思い描いたような成果を得ることはできなかったようだ。

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