クルマ三昧

最適なドラポジを求めてシートを動かす…こんな動作はもうじき不要に? (3/4ページ)

木下隆之
木下隆之

 あるいは重量物は、マシンの重心点に限りなく寄せるのが理論上の理想である。マシン設計者は、1kgですらも理想のウエイトバランスを求める。60kgも80kgもあるドライバーが、シートアジャスターでいちいち前後に移動されてしまっては、速くは走れないのである。

 だから僕らはマシンに乗り込む時に、こんな手順を踏む。

 クルマに歩み寄る。

 ドアノブに手をかける。

 足を踏み入れる。

 ドライビングシートに腰を下ろす。

 そしておもむろに、シートライドアジャスターに指をかけるのではなく、ペダルスライダーを操作するのである。これがレーシングマシンを走らせる時の儀式である。

 右からアクセル、ブレーキ、クラッチ、そしてフットレストの4枚のベダルは(最近2ペダルのマシンも少なくない)、一枚の大きなプレートにくくりつけられている。そのプレートごと、前後にスライドするのである。慣れるまでは不思議な感覚である。

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