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「回転しない寿司」路線から6年 元気寿司が思い知った“意外な効果” (3/4ページ)

回転しないすしを推進して分かったこと

 法師人社長は、注文を受けてからすしを提供するスタイルに変えたことで、店舗のオペレーションにさまざまなメリットが出てきたと説明する。

 まず、従業員の作業が簡素化された。これまでは定期的にすしを回転レーンに投入しつつ、お客の注文に対応しないといけなかった。店舗の改装後は、注文を受けて商品を流す作業に集中できるようになった。つまり、売り上げにあまり寄与しない作業に時間を取られることがなくなったのだ。

 オープン前の作業も軽減された。お客が来店する前に、レーン上にすしを流す必要がなくなった。かつては、レーン上のすしが充実していないと「すしが流れていないぞ!」というクレームがきたこともある。ある意味では、お客の満足度を向上させるためにすしを流していたわけだが、注文だけにすることで、その心配もしなくて済むようになった。

 会計時における皿の数え間違いもなくなった。これまでは、食事が終わったお客のテーブルに店員が出向き、皿の数を数えていた。実は、この作業には意外にミスが多く、売り上げの損失につながることもあったという。自分が食べた分より多く皿の数をカウントされるとその場で指摘するお客は多い。一方、皿の数を少なくカウントされた場合、そのことをわざわざ指摘しないお客がいる。しかし、タブレットを使って注文するスタイルなので、注文履歴は全てデータとして残ることになる。

 このように、「回転すし時代には問題になったことが、全てクリアになった」(法師人社長)のだ。

 回転しないすしの店舗が増えることで、別のメリットも生まれた。それは、海外の事業者から「そのスタイルのお店を我が国でも展開したい」というオファーが出てきたことだ。海外では回転すしというスタイルが一般的となり、珍しい存在ではなくなりつつある。新規出店を考える際、回らないすしというスタイルに魅力を感じる現地パートナーが増えているという。元気寿司の店舗は海外に200近くあるが、回らないすしが海外展開を推進する1つの武器になっている。

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