高論卓説

世界経済回復は年後半? 中国過剰債務と米財政拡張で漂う暗雲 (2/2ページ)

 一方、米国は別のリスクを抱えている。トランプ大統領が11日に議会に提出した4兆7000億ドル(約526兆4000億円)の2020年度予算教書に対し、超党派の「責任ある予算委員会」は、米国の債務が向こう10年間で10兆5000億ドル増加すると試算。

 与党・共和党のマイク・エンジ米上院予算委員長は13日、米政府の赤字は近く、年1兆ドルを超えるとし「われわれは明らかに不吉な方向に向かっている」と語った。

 8日に発表された2月米雇用統計で、2月の時間当たり平均賃金が前年同月比3.4%上昇と09年4月以来の大幅な伸びとなった。86億ドルも投じて万里の長城並みの壁を建設するとなれば、多くの労働力が投入され、さらに人件費を押し上げる展開も予想される。

 さて、市場がどのように判断するのか、分かれ道に至りそうだ。財政赤字の拡大と労働コストの上昇をみて、米長期金利が3%を超えて上昇するのか、先進国に共通の低成長の未来を予見して、2%後半で推移するのかだ。

 もし、米長期金利が上がり出せば、米株下落を伴って世界の金融・資本市場はかなり混乱する可能性が出てくる。このケースでは、労働コストが上昇しているので、米連邦準備制度理事会(FRB)は株価下落が大幅なものになっても、利下げで対応できそうもないという「困難」にも直面するだろう。

【プロフィル】田巻一彦

 たまき・かずひこ ロイターニュースエディター。慶大卒。毎日新聞経済部を経てロイター副編集長、コラムニストからニュースエディター。東京都出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus