大廃業時代に挑む

(中)中小向けM&Aの仲介事業続々 (1/3ページ)

 ■AI活用で低コスト 抵抗感払拭が鍵

 関西のある射出成型工場。従業員15人で年商7000万円の中小企業の社長は健康問題を抱え、身近に後継者もいない。このため63歳のとき従業員に対し「65歳までには引退する」と、事実上の廃業を宣言した。だが、相談先の銀行から提案があり踏みとどまった。打ち明けられた内容は「M&A(企業の合併・買収)という手法もある」だった。

 手数料無料も

 売却先を探すためネット上で企業の買い手と売り手をマッチングする日本M&Aセンターのサービス「アンドビズ(現バトンズ)」に登録した。その1年後、関西地方の他県の同業者が買い手として打診してきた。

 話を聞くとお互いに顧客が重ならず、得意な技術・製品も異なり、シナジー効果を発揮できる理想的な組み合わせであることが判明した。M&Aに向けた動きは着実に進み、2017年春には成約にこぎ着けて経営統合。雇用も引き継がれた。買い手側の40代の社長は「顧客が増えた上に、技術・製品も強化され、売り上げ増加につながった」とした上で、「今後もいい案件があれば、M&Aを積極的に進めたい」と意欲を示す。

 これまでM&A仲介業者の多くは、成約手数料が高い大手企業を対象としていた。売上高2億円以下の中小企業はいわば門前払い。しかし、人工知能(AI)などのデジタル技術で低コストの運用が可能になり、仲介手数料を無料にするサービスも登場。中小にも手が届くようになった。

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