【検証エコノミー】出光創業家は2人の取締役、会社側との相克雪解けか

株式交換の契約を結び、握手を交わす(左から)出光興産の木藤俊一社長、昭和シェル石油の亀岡剛社長=平成30年10月16日、東京都内(古厩正樹撮影)
株式交換の契約を結び、握手を交わす(左から)出光興産の木藤俊一社長、昭和シェル石油の亀岡剛社長=平成30年10月16日、東京都内(古厩正樹撮影)【拡大】

 出光興産の創業者、故・出光佐三(さぞう)氏の法要が今月、佐三氏の墓がある神奈川県鎌倉市で営まれた。佐三氏の長男で5代目社長を務めた出光昭介名誉会長(91)と妻、昭介氏の子息、そして出光首脳陣の姿もあった。出光創業家と会社側が顔をそろえた法要は、かつての相克の雪解けをうかがわせた。

 創業家は、出光と昭和シェル石油の経営統合に約2年にわたり反対。だが、主要メンバーは昨年7月に条件付きで賛成に転じた。

 新会社の取締役は社外を含め12人。昭介氏の長男の出光正和氏が非常勤の取締役、創業家の顧問弁護士が社外取締役に就任する。

 出光関係者は「(統合後も)創業家であること、大株主であることには変わりはない。(正和氏らに取締役会に)入ってもらい、会社側の取り組みを理解いただき、互いに信頼関係を持って進みたい」と話す。

 会社側が昨年7月に正和氏らと取り交わした合意書には、株主還元の大幅強化や、出光の商号の維持なども盛り込まれた。みずほ証券の新家法昌シニアアナリストは「合意書の内容を会社側が守っている限りは、(創業家の存在は)不確実な要素にはならないのではないか」との見方を示す。