新聞に挟まれるチラシにさえ、「新型デビュー」と大々的に宣伝されるから、いつ出たのかと探ってみるとマイナーチェンジであり車種追加を新型と名乗っている。あるいは、デビューしてから1年近くを経過したモデルでさえ新型と名乗るケースもある。ここまでいくとユーザーを混乱に招くだけだろう。実際に専門家である僕らも騙されることがある。
個人的な見解では、型式が新しくなるのが新型、つまりフルモデルチェンジであり、型式が共通ならばどれほど大幅に手を加えても改良モデル、いわばマイナーチェンジだと解釈している。という定義で言えば、今回試乗したデリカD5は新型ではなく車種追加、もしくは改良モデルである。
だがしかし…。
今回に限っては新型といっても許されるように気がするから厄介である。というのも、型式的には改良だが、新型と名乗っても相応しいほど進化しているからなのだ。
ちょっとヘッドライトのデザインを変えただけの改良や、エンジンを他モデルから流用しただけの車種追加と同格に並べてしまってはデリカD5が可哀想である。むしろ、型式変更させずにここまで大幅に進化させたことを褒めるべきだ。
マイナーチェンジされた「デリカD5」は、フルモデルチェンジされた「新型デリカD5」と名乗っていいほどの改良だった。同時に、新型の定義論にメスを入れることになった。
◇
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちらから。
木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらから。