クルマ三昧

デリカD5は新型か改良型か… 「フルモデルチェンジ」の定義論にメス (3/3ページ)

木下隆之
木下隆之

 新聞に挟まれるチラシにさえ、「新型デビュー」と大々的に宣伝されるから、いつ出たのかと探ってみるとマイナーチェンジであり車種追加を新型と名乗っている。あるいは、デビューしてから1年近くを経過したモデルでさえ新型と名乗るケースもある。ここまでいくとユーザーを混乱に招くだけだろう。実際に専門家である僕らも騙されることがある。

 個人的な見解では、型式が新しくなるのが新型、つまりフルモデルチェンジであり、型式が共通ならばどれほど大幅に手を加えても改良モデル、いわばマイナーチェンジだと解釈している。という定義で言えば、今回試乗したデリカD5は新型ではなく車種追加、もしくは改良モデルである。

 だがしかし…。

 今回に限っては新型といっても許されるように気がするから厄介である。というのも、型式的には改良だが、新型と名乗っても相応しいほど進化しているからなのだ。

 ちょっとヘッドライトのデザインを変えただけの改良や、エンジンを他モデルから流用しただけの車種追加と同格に並べてしまってはデリカD5が可哀想である。むしろ、型式変更させずにここまで大幅に進化させたことを褒めるべきだ。

 マイナーチェンジされた「デリカD5」は、フルモデルチェンジされた「新型デリカD5」と名乗っていいほどの改良だった。同時に、新型の定義論にメスを入れることになった。

 【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちらから。

 木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらから。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus