【高論卓説】苦しい私大医学部の経営 国立優遇に疑問、医師養成は平等 (1/3ページ)

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 天皇陛下の心臓手術の執刀医は、順天堂大学病院の天野篤博士であられた。3浪して日大医学部に入って医師になられた人である。私も交流があり、よく博士と話をするが、仙人という印象をいつも受ける。私大出身者としては異例の執刀医といわれたが、最も高い技術力があり、豊富な経験が評価されたに違いない。この事実は、私大医学部出身者も有能で実力があると教えてくれた。

 昨年、私は都内の私立大病院で膵臓(すいぞう)がんの手術を受けた。3週間の入院だったが、一度も痛さを感じずに退院した。担当医の実力と近代医学の進歩に感謝するしかあるまい。

 さて、昨年は東京医科大の不正入試問題が世間を騒がせた。「入試の公平性を害した」と決めつけられ、私学助成金が交付されなかった。約23億円の助成金をペナルティーとして受け取れなかったのである。大学経営上、このペナルティーは厳しい。私大医学部の6年間の医学教育経費は、学生1人当たり約1億円である。学生の納付する平均額は3204万円であり、この差額を私学助成金と付属病院での収益や寄付金で賄う。その点が国公立大医学部とは異なる。

 日本私立医科大学協会に29大学が加盟している。昨年末、同協会は入学者選抜問題で8項目の申し合わせを行った。まず、年齢、性別、受験前の経歴など一定の属性を合否の条件とはしないという。高齢者を医師にするより、若者に投資した方が国民のために役立つと私は思う。なぜ、年齢制限を決めなかったのか、あまりにも国におもんばかってはいまいか。

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