【フロントランナー 地域金融】鳥取銀行鳥取西支店の前根伸彦支店長(3)


【拡大】

 ■「成果」よりも「プロセス」重視

 鳥取銀行鳥取西支店の前根伸彦支店長は、融資推進の取り組みとして企業の財務や資金繰り面からのアプローチも検討していく。渉外担当者一人一人と定期的に面談。担当先や開拓中の先の資料を一緒に見直し、金融機関との取引状況や資金繰り表などを細かくチェック。長期借り入れが多く、約定返済が資金繰りを圧迫している場合などは、改めて正常運転資金を計算し、相当額を短期継続融資に組み替える提案を進める。

 ただ、中小・零細の経営者が運転資金を短期継続融資で賄うことのメリットを理解していないことも多い。そこで前根支店長は、そもそも正常運転資金とはどんなものなのか、短期継続融資を活用することによる資金繰りの改善効果など、基本的なことから丁寧に説明する。実際、渉外担当者が開拓に苦戦している新規先に対して長短バランスの改善を提案することで、取引に結び付くケースも増えているという。

 一方、部下の指導では、渉外担当者のモチベーションを上げることを心掛けている。

 例えば、半期の住宅ローンの獲得目標が2億円の場合。住宅1軒当たりの平均借入額が2000万円だとすると、10軒分に相当する。ここで渉外担当者には、支店の営業エリア内で半年間に建つ住宅の全体数を想像してもらう。それが100軒だとすれば、100軒中の10軒で利用してもらえればよい-と考えることができる。

 「10人のお客さまにアプローチしても、10件のローンが獲得できないのは当たり前。大切なのは、どれだけ多くのお客さまにアプローチできるか。常にお客さまの方を向いてやるべきことをこなしていけば、成果は必ずついてくるものです」

 下から目標を見上げるのではなく広い視野で捉えることによりプレッシャーを軽減させる。そのうえで、部下の活動については「成果」よりも「プロセス」を重視しているという。

 顧客本位の姿勢を貫く前根支店長の下、今後も鳥取西支店では多くの共通価値が創造されていきそうだ。

 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp