「安全対策を強固に」 門上英・原子力エネルギー協議会理事長

 東京電力福島第1原子力発電所事故の反省はいろいろある。事故以前は、原発の安全性を自主的に高めていく取り組みが不十分だったのではないか。特に、地震や津波など自然現象によって引き起こされるシビアアクシデント(過酷事故)への対策が進んでいなかった。原子力エネルギー協議会(ATENA)は、原子力産業界全体で共通する技術的な課題について効果の高い安全対策を自主的につくり、原発の現場で定着させることを目指す組織だ。

 規制当局が設けたルールを守るのは大原則だが、ATENAとしてはそこにとどまらず、原子力産業界が自らの判断で国内外の新たな知見や技術を取り込むことで安全対策を強固にするよう努める。原発をサイバー攻撃から守る機能の強化に関する指針もそうだ。電力会社はサイバー攻撃に対してすでに高い障壁を設けてはいるが、サイバー技術は日進月歩でもあるためだ。

 この指針も含め、短期や中期で取り組む課題として絞り込んだ14件については原発の現場への導入を促すことが必須だ。加えて、ATENAが原子力産業界を代表する立場として規制当局である原子力規制委員会と対話できるような関係を早期に築くことも今後の課題となる。(談)