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イラン産原油、全面禁輸か 石油製品安定供給は維持の見込みだが…ガソリン価格値上がりも

 米国が日本などにイラン産原油の輸入継続を認めた適用除外の措置を延長しない方針だと発表したが、日本の石油元売り各社はこうしたリスクを織り込み、既に輸入を停止している。他の中東産油国を中心とした代替調達でガソリンなど石油製品の安定供給は維持できる見込みだが、エネルギー調達の基本である多角化には課題を残している。

 「イランからの輸入がなくなるのは、多角化という観点では好ましくないことだ」。あるエネルギー関連企業幹部はこう憂える。

 平成29年の日本の原油輸入量のうち、イラン産の割合は5.5%。サウジアラビア(40.2%)やアラブ首長国連邦(UAE、24.2%)と比べれば大幅に低いが、政府は「石油のほぼ全量を海外からの輸入に依存している日本にとって、イランとの関係は重要だ」(世耕弘成経済産業相)との立場を維持してきた。

 元売り各社は必要に応じてサウジアラビアなどからの代替調達を進めており、石油製品の安定供給に問題はないとの見方が多い。ただ、各社はイラン産原油を「(割安で)経済的メリットがある」(大手首脳)という点も評価して買ってきた経緯があり、代替調達によるコスト上昇分が転嫁されればガソリンなどの小売価格を押し上げかねない。

 経済産業省資源エネルギー庁によると、今月15日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は9週連続で値上がりし、147円20銭と約4カ月ぶりの高値水準。今後の原油相場の動向次第では、一段の上値追いも否めない。(森田晶宏)

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