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KDDI新料金、7ギガプランで勝負 値下げ競争、複雑さ残る

 KDDI(au)が携帯電話の通信料金を最大で4割下げる新料金プランを6月に導入するのは、政府が日本の携帯料金の高さを問題視して法改正を進めるなど、価格競争を促していることが背景にある。NTTドコモも値下げを打ち出しており、競争は激しさを増しつつある。だが、値下げには家族割引や光回線とのセット割引といった条件もあり、価格体系の複雑さが課題として残る。(万福博之)

 「かなり頑張った。魅力的なプランになったと思う」。KDDIの東海林崇(しょうじ・たかし)専務は13日の記者会見で新プランへの自信を示した。

 業界最大手のドコモは先月、通信料金と端末代金を分離して最大4割値下げする新プランを6月に導入すると打ち出した。KDDIは一昨年に分離プランを導入済みだが、さらなる値下げで対抗する格好だ。

 値下げ後の料金は通信容量1ギガバイトまでのプランが月額1980円とドコモと同水準だが、7ギガバイトの中容量プランは月額3480円と大手3社の中で最安値だ。東海林氏は「この領域が主流になると思う」と他社が手薄な中容量データ利用者の囲い込みを進める考えを示した。

 携帯料金をめぐっては長期契約を前提に端末代と通信料金が一体化した従来プランは料金の高止まりを招いているとされ、昨夏に菅義偉官房長官が「4割程度下げる余地がある」と発言して議論が活発化。政府は分離プランを義務化する法改正案を今国会に提出し、5月10日に成立した。

 政府は端末代と通信料金が分離されれば、消費者は各社の通信料金そのものを比較しやすくなり、価格競争が活発化して料金の引き下げにつながるとみる。10月には楽天が新規参入し、競争はさらに激化する見込みだ。ソフトバンクも対抗策を検討するとみられる。

 もっとも、各社の新プランで大幅な値下げを受けるには家族の同時加入や光回線とのセット契約などが条件で、プランごとにセットの割引幅なども異なる。利用者には複雑で、どのプランが最もお得なのかを単純比較するのは難しい。「多様化するニーズごとにある程度のプランをそろえる必要がある」(KDDI)側面もあるが、消費者目線で料金体系の簡素化とどう両立するかも問われている。

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