高論卓説

令和経済を牽引する条件は 海外で稼ぐ「翔ぶ企業」を高評価 (1/2ページ)

 「令和」が幕を開けた。日経平均株価は改元の祝賀ムードをかき消すかのように、10連休明けの令和初取引日に大幅安でスタートした。週が明けても下げ止まらず、令和に入ってから14日までの6営業日続落で、累計の下げ幅は1200円近くになった。下げの背景は米中貿易摩擦の激化に対する懸念である。米国は制裁関税の対象を中国からの輸入品全てに広げると表明。中国も報復関税を課すと応じた。米中間の貿易摩擦がエスカレートすれば、とばっちりは日本企業の対中輸出にも及ぶ。株価は業績への悪影響を警戒し、上値が重い展開を強いられそうだ。

 改元を機に株式相場再生への期待が高まっている。しかし、日本経済には課題が山積する。株価の先行きは楽観を許さない。直面しているのが人口危機だ。総務省が先に発表した今年4月1日時点の14歳以下の子供の人数(推計)は前年比18万人少ない1533万人となった。38年連続の減少で、比較可能な1950年以降で過去最少を更新した。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本の総人口は出生率中位で2053年に1億人を割り込む。うち、65歳以上の高齢者の人口は15年の3387万人から42年には3935万人に増えてピークを迎えるという。令和は少子高齢化、人口減少が加速する時代でもある。

 目を世界に転じれば異なった人口動態の風景が見える。国連の経済社会局は17年6月に「世界人口予測(2017年改訂版)」を公表した。それによると、世界人口は現在の76億人から、30年には86億人へ、50年には98億人になると予測する。国別では、24年ごろまでにインドが中国を抜いて第1位になるという。人口減少が加速する日本に事業基盤を置き続ける企業の業績は先細りが避けられそうにない。

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