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プリキュア新作が「80年代」を推す理由 28歳の女性Pが狙うセット戦略 (1/4ページ)

 15年続く日曜朝の女児向けアニメ「プリキュア」。今年2月から始まった最新作のテーマは「ネオ80's」と「宇宙かわいい」。その狙いは親子で楽しめる作品づくりだという。女児向けマーケティングの最先端について、柳川あかりプロデューサーとサイバーエージェント次世代生活研究所・所長の原田曜平氏の対談をお届けしよう。

今年の「スタプリ」は前日の夜に眠れないほど楽しい

 【原田】僕はもう20年も若者研究を続けているのだけど、柳川さんは10年くらい前に博報堂で立ち上げた「若者研究所」の最初期のメンバーなんですよね。アニメは昔からやりたいとおっしゃっていましたけど、まさか本当にプロになるとは思ってもいませんでした。

 【柳川】若者研に参加していたのは高校生の時ですね。アニメにハマったのもその頃で、新卒で東映アニメーションに入社したんです。

 【原田】この2月にスタートした「スター☆トゥインクルプリキュア(以下、スタプリ)」のプロデューサーに就任されたと聞いて、びっくりしました。実は、うちの娘が毎年「プリキュア」にハマっていて、グッズを大量に買わされているんですが、今年の「スタプリ」は前日の夜に眠れないほど楽しいっていうんですよ。

 だから今日は、今までのプリキュアと今回の「スタプリ」は一体なにが違うのか、それを僕の領分であるマーケティング的な見地から解明できたらなと。アニメに限らず、他の業界でものづくりをしている人にも、きっと今の子供心をつかむマーケティングのヒントになるでしょう。

 【柳川】なるほど、わかりました。

とにかくスピード感やテンポを優先させた

 【原田】早速なんですが、今年の「スタプリ」がこれまでの作品以上に、うちの娘世代の子供にウケている理由はなんだと思いますか?

 【柳川】前作の「HUGっと!プリキュア」(2018年2月~2019年1月放映)に比べて、直感的・視覚的に楽しめる要素を増やしたせいかもしれません。「HUGっと!」は比較的ドラマ性が強かったんですが、「スタプリ」はちょっと方向転換して、エピソードごとのメッセージは込めつつも、もう少し感覚的な楽しさを重視しました。

 たとえば第1話は、「ジェットコースターに乗っているような、勢いのある映像にしたい」とオーダーしたんです。その結果、主人公がいきなり地球から宇宙にロケットで飛び出して戻ってくる、という展開になりました。物語上、最初から宇宙に行く必要性はあまりなかったんですが、ここはあえて。

 【原田】相手は子供ですからね。マーケティングの前提として、理屈じゃなくて、「直感的に楽しい」という要素が絶対に重要ですよね。大人が考えるにあたっては一番難しい部分だと思いますが。

 【柳川】そうですね、とにかくスピード感やテンポを優先させましたから。

親世代も引き込むための「80年代」テイスト

 【原田】しかし、プロデューサーとしては若いですね。

 【柳川】平成2年(1990年)生まれです。アニメの世界は35歳前後でプロデューサーになる方が多いので、少し若いかもしれません。私は「スタプリ」の企画書に、世界観のトーンとして「ネオ80's」と「宇宙かわいい」という2つのキーワードを掲げました。これは客観的にみれば、私の世代ならではの発想かもしれません。

 【原田】「ネオ80's」から行きましょうか。「80年代」は、むしろバブル世代のおじさんからも出てきそうなキーワードに思えますけど、それとはまた違うんでしょうか?

 【柳川】私は80年代を過ごした世代ではないんですが、バブル期の前向きな感じに強い憧れがあります。その意味での「80年代なのに新しい」が「ネオ80's」なんです。その上で作品にどう落としこんだかというと、絵柄やデザインの部分ですね。スタッフには、80年代のファンシー雑貨やアニメ作品の画像をいっぱい並べて、「この世界観で」と指示しました。

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