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レオパレス 信頼回復へ“忖度風土”脱せるか

 賃貸アパートの施工不良問題で、レオパレス21の外部調査委員会は、順法意識や品質を軽視しても業績拡大を最優先させる体質や、2006年まで経営トップであった創業者の深山祐助氏のワンマン経営に対する忖度(そんたく)が問題の原因だと結論づけた。

 この企業風土は現在の経営陣になっても、変わっていないことが、今回の問題に関連した調査や改修の遅れなどでも明確になった。刷新する新経営陣が中身を伴い改革できるか、正念場を迎える。

 調査報告では、「業績改善のため、施工物件数拡大が目標となり、そのために『走りながら考える』状況で、問題点に気付いても目をつぶって放置」し、「確認申請図で虚偽の記載をすることで、問題をやり過ごす」といった法令無視の業績至上主義を指摘した。

 さらに、創業者である元社長の深山祐助氏がさまざまなアイデアを出しており、「これを実際の商品に落とし込むことを優先させ、法令適合などのチェック機能がおろそかになっていた」とするなど、社内の法令順守に対する意識の低さを厳しく指弾した。

 問題の物件が開発されたのは深山祐助氏が経営トップの時代だが、体質は継続されていた。

 今回の問題の発覚は昨年5月。施工不良物件がどの程度あるのか、なかなか調査が進まない中で、新たな施工不良が発覚し、今年2月に公表。その後の、全棟調査が完了しないなど、自浄作用が働かないことにしびれを切らした国土交通省が、今年10月までの全棟改修を求める異例の指導を行った。

 そういった過程でも新たな施工不良が相次いで発覚し、改修完了のめどが立たない中で、深山英世社長としては退任するしかなかったというのが実情だ。

 経営刷新で誕生する後任社長の宮尾文也取締役ら次期経営陣に求められるのは、まずは法令順守などの信頼回復だ。消費者の日々の生活の基盤となる賃貸アパートだけに、一度失った信頼を回復するのは、きわめて厳しい道のりだ。長年の“忖度”経営をどのように脱するのか、それが改革の最大のポイントになる。(平尾孝)

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