高論卓説

全国民規模の恩恵、程遠く 疑問だらけの「大学無償化法」 (1/3ページ)

 私は専修大の教員をしていたおり、2部(夜学)の講義を担当した。苦学生と接することは、教員が学生より多くのことを学んだと述懐する。公務員をはじめ、さまざまな職業に従事しながら、午後5時50分開始の1時限目に出席しなければならない2部学生は相当な覚悟と学問に対する情熱と執念がなければ卒業が難しかった。それでも向学心に燃える優秀な学生がいて、税理士、司法書士などの試験に合格する学生も多くいた。(松浪健四郎)

 2部学生の卒業できる第一の条件は、職場の理解である。当時、私は2部に通学する学生を持つ団体、企業などに若干であろうとも補助金を出すべきだと感じていた。4時か4時半に職場を離れないことには、授業に出席できないゆえ、職場に相当な迷惑をかけるからである。

 わが国は、資格・免許社会であるがため、資格・免許の取得にはそれなりの学校へ進学せねばならない。難易度の高いものであれば、高等教育機関で学ぶ必要がある。名門企業にしても、採用時は学力を要求する。

 諸般の事情で進学できない若者を救済する策が検討されてきたが、やっと今月10日に「大学修学支援法」が成立した。低所得世帯を対象に高等教育の無償化を図るための法律である。無償化の対象を家計が苦しい世帯に絞り、意欲と能力、向学心のある若者たちに高等教育機関に進める機会を与える趣旨で成り立つ。国公私大を問わず、低所得者世帯であれば、授業料はほぼ全額免除される。返済不要な奨学金も拡充され、最高額が年間91万円まで引き上げられる。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus