金融

譲渡制限付き株式報酬の導入急増 5月末時点で597社に

 企業が報酬として役員らに株式を渡す「株式報酬制度」のうち、売却を一定期間制限する「譲渡制限付き株式(RS)型」の導入企業が約600社に達したことが7日、分かった。ガバナンス改革が進む中、株式報酬制度は今年の株主総会でも焦点のひとつだ。特にRSは“株主目線”の経営を促す効果への機関投資家からの期待が高く、日本企業の報酬制度を大きく変える起爆剤となりそうだ。

 野村証券の5月末時点の集計によると、株式報酬制度の導入企業は1488社と過去最高。全上場企業の約4割まで広がっている。

 このうちRS導入企業は株主総会での承認を前提とする企業も含めて597社。平成28年度の税制改正を受けて初めて登場してから実質3年で、「株式交付信託」(492社)や「ストックオプション(自社株購入権)」(358社)など、他の株式報酬制度を抜いた。

 パナソニックは5月末、RS導入を決定したと発表。導入の目的について、「株主との一層の価値共有を図る」などと説明している。今年はトヨタ自動車や日立製作所、三井物産、京セラ、積水ハウスも導入を決めた。

 RSは「退職時まで」「5年間」などと期限を区切って譲渡を制限する株式報酬制度のひとつ。ストックオプションなどと違って、役員らが株式を直接保有するのが特徴だ。株価や配当利回りを上げるため、中長期的な経営努力を促す効果があるとされる。

 昨年の「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」の改訂で、報酬の客観性や透明性が強く求められるようになったのに続き、金融庁もRS導入の手続き簡素化を検討している。株式報酬の導入は今後、さらに加速しそうだ。

 野村資本市場研究所の西山賢吾主任研究員は「報酬制度は機関投資家と企業の対話の重要テーマになっている」とする一方、「日本では、経営者の報酬増額が本当に企業価値向上のインセンティブにつながるのかについて、意見が分かれるところだ」と指摘した。(米沢文)

 譲渡制限付き株式(RS)報酬 一定期間の売却が制限された株式を役員らに付与する制度。株式保有期間中は通常の株主と同様に議決権を行使したり、配当を受け取ることができる。持続的な企業価値向上への取り組みを役員らに促す効果があると期待され、機関投資家へのアピールにもなる。「働き方改革」で残業代が減った分を補う目的で、従業員に付与する事例も増えている。

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