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ワークマンが成功した本当の理由 「安いのに高機能でオシャレ」に違和感 (3/3ページ)

 「同社は過去にも雨具がバイク向けに活用できるとネットで話題になり、オンラインストアのアクセスが急増するなど反響があった」(同上)

 バイカーたちが集うネット掲示板で「この価格で、この機能はヤバい」なんて感じで絶賛され、口コミで人気に火がついた、というわけなのだ。

 マーケティングに必要な情報は、自分たちの組織にはない。「外」の世界から得た情報を取り入れて、組織が学習をしていくか、つまりフィードバックしかない、とドラッカーは説いた。ワークマンはこの雨具がバズったという「想定外」の出来事をフィードバックして、自分たちの強みを理解した。

 それが現在のような、「インフルエンサーマーケティング」につながり、並み居るライバル会社たちから頭ひとつ飛び出す原動力につながったのではないか。

 もちろん、全ては筆者の勝手な想像に過ぎない。が、ワークマンという会社が「外」の世界から得た「気付き」をフィードバックすることができる組織だということを示す、動かぬ証拠がある。

 それは「賃上げ」だ。

ワークマンが成功した本当の理由

 ワークマンがよく言われるもうひとつの評価が「ホワイト企業」というものだ。業績が好調となった13年に、全社員を対象に1年ごとに、年収の3%にあたる額を年2回の賞与に加算して支給するという方針を表明。14年には、20年3月期にかけて全社員の平均年収を約100万円上げる計画も発表している。

 これは、利益を社員に還元することで労働意欲を高めるというのが一番の狙いだが、「政府はデフレ脱却のため、業績好調な企業に従業員の報酬引き上げを要請しており、これに応える」(日本経済新聞 2013年2月19日)ためでもあるという。

 「昭和の日本企業」は日本人が大好きな「高機能・低価格」を、労働者の賃金をなるべく低く抑えることで実現してきた。だから、日本商工会議所のような「昭和の企業」の集まりは、賃上げに強固に反対をするが、これはよろしくない。

 「賃上げ」に踏み切れない会社は労働者の意欲も落ちて、新しいアイデアやアクションが生まれない。「低賃金労働によって生み出す低価格・高機能」という高度経済成長期型の消耗戦からいつまでたっても撤退できないので、「気合い」と「根性」への依存度が増してどんどんブラック企業化していくからだ。

 このあたりの問題をよく分かっているのが、「外」の世界から情報を仕入れて自分たちが置かれた状況を客観的に見ることができる企業、つまりフィードバックが効いている組織である。

 自分たちを俯瞰してみれるから、マーケティングも成功する。品質のいいものをつくっていれば消費者は買ってくれる、というプロダクトアウト的な内向きな思考ではなく、「プロ向け作業着の品質を生かして激安なのに高機能でオシャレ」というイメージをどうすれば社会に広められるかというユーザー目線で柔軟な発想ができるのだ。

 ワークマンが成功した本当の理由は案外、そんなところかもしれない。

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