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「カスタマイズ思考」で事業再生を (1/2ページ)

 事業再生コンサルティングで重要なのは、コンサルタントが得意とする手法を再生企業に当てはめる「当てはめ思考」ではなく、その会社特有の問題点の解決策と強み活用策を提示する「カスタマイズ思考」により、経営パフォーマンス最適化の戦略と戦術を構築することだ。特に、問題を抽出して原因を究明し、その原因を改善する「問題解決」と、強みを抽出してそれを生かした施策を行う「強み活用」は大きなポイントとなる。(レヴィング・パートナー代表取締役・寺嶋直史)

 ところが実際には、コンサルタントがこのポイントを押さえることなくミスリードしてしまい、再生が進まないどころか、さらに業績を悪化させているケースが多い。

 例えば、慢性的な赤字で借入金が売り上げの80%に達し、再生への取り組みも行っていない企業があったとする。借入金は既に返済困難な状況に陥っていると想定できる。資金調達コンサルタントは、このような企業に対して短期借り入れという無謀な提案をしてしまう。このケースでは、いったんリスケジュール(債務繰り延べ)で負担を軽減し、抜本的に経営を見直すことを検討すべきなのだ。

 また、近隣で大手と競合する小さな食品スーパーが、業績低迷により販売促進コンサルタントの支援を受けたとする。その販促コンサルは、以前より頻繁に安売りチラシを出す提案をしてしまい、その結果、売り上げは若干取り戻せるものの、広告費が上がり、さらに安売り訴求により粗利率も減少し、利益は大きくマイナスとなってしまう。

 このケースでは、他社にない魅力的な商品を展開して差別化を図り、商品の魅力をPOP(購買意欲促進広告)などで伝える方向にかじを切らなければいけないのだ。

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