神奈川発 輝く

生産者や従業員が幸せになる仕事を「チョコレートデザイン」 (2/3ページ)

 当時を「孤独だった」と八木代表は笑って振り返るが、メルマガを通じて客とやり取りをするなど、パティシエ自身が製造だけでなく販売までこなすのは「やりがいがあった」と話す。03年に現在の看板商品となる「ショーコラ」を開発。インターネット販売で続々とファンを増やし、14年に地元の横浜にみなとみらい本店をオープンさせた。

 業界の常識を変える

 製品全てに、フェアトレードで仕入れたカカオ豆やチョコレートを使用。フェアトレードとは、発展途上国などで生産されている原料を適正な価格で継続的に購入する取引のことだ。

 「商品がたくさん売れたら、その分、多くのフェアトレードカカオ豆やチョコレートを輸入できる。そうすれば、農園にお金を落とすことができ、生産者も幸せになれる」と話すように、同社の事業は“ソーシャルビジネス”の側面を持つ。「自分の仕事が社会貢献につながっていると思うと、社員も誇りを持って働ける」と、働く環境づくりにも力を入れる。

 一般的に、多くの菓子店の従業員は長時間労働を強いられる。しかし、同社では残業をなくし、有給の消化率はほぼ100%となっている。「パティシエという職に憧れを持って業界に入った若者たちが、労働環境に疲弊して離れていく現状を変えたいと思った」と話す。同社は菓子業界の常識を変える“ベンチマーク企業”としての役割も目指している。

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