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ウイルスが宿主細胞の翻訳装置を乗っ取る仕組み (2/3ページ)

 □理化学研究所 仁科加速器科学研究センター RI物理研究室 室長・櫻井博儀

 ■魔法数研究に金字塔

 原子核が比較的安定になる陽子や中性子の数のことを「魔法数」と呼び、2、8、20、28、50、82、126が知られている。ニッケル-78(78Ni:陽子数28、中性子数50)の原子核は、陽子数、中性子数が両方とも魔法数であり、陽子よりも中性子がかなり多いことから、「中性子過剰な二重魔法数原子核」と呼ばれる。78Niは原子核の中でも、それ以上中性子が結合できない「中性子ドリップライン」に最も近く、本当に二重魔法性を持つのか、いまだ十分な研究が行われていなかった。

 今回、理研を中心とする国際共同研究グループは、世界最高性能で不安定原子核ビームを生成するRIビームファクトリー(RIBF)において、78Ni原子核の励起状態を生成し、その励起エネルギーを測定することに初めて成功した。この測定は、フランスCEAサクレー研究所が開発を主導した高機能液体水素標的装置MINOSを、理研が保有する高効率ガンマ線検出装置DALI2と組み合わせて使用することで達成された。78Niの第一励起準位から発せられる高いエネルギーの脱励起ガンマ線の存在を確認した。これは、中性子過剰な78Ni原子核においても二重魔法性が保持される直接的で強い証拠である。

 本研究成果は、原子核の内部構造を理解する手掛かりになるのみならず、原子番号26の鉄以上の重元素の合成(r過程)の謎を解くための鍵になると期待できる。

【プロフィル】櫻井博儀

 さくらい・ひろよし 1993年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、博士(理学)。東京大学助手、助教授、理化学研究所研究員などを経て、2005年より理化学研究所主任研究員、13年より仁科加速器科学研究センター副センター長、18年から現職。

 ■コメント=自在に原子核を変換・生成する方法を見出し、未知核の性質を明らかにしたい。

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