トップは語る

スパイバー 人工タンパク質のプラ代替素材実用化へ

 □スパイバー代表・関山和秀さん(36)

 --アウトドアブランド「ザ・ノース・フェース」から今年8月、構造タンパク質素材を使ったTシャツを販売する

 「2015年にパーカーの試作品を発表したときは、翌16年に発売すると宣言したが、壁にぶつかった。世界で最も強靱な材料であるクモの糸を人工的に量産できれば、すぐ工業化できると思っていたが幻想だった。クモの糸は水にぬれると収縮し、そのままでは商品にならない」

 --その失敗後、対外的な発信を控えてきた

 「クモの糸の模倣から、それを構成するタンパク質をいかに用途ごとの材料として使いこなすかに考え方を大転換した。生物であるクモは温度などの制約の中で糸を作るが、遺伝子工学も含めて人間が作れば、素材の能力はぐっと広がる。研究開発による特許出願数は188に及び、欧米の競合他社より圧倒的な地位を得た。ようやく、進捗を説明できる段階になった」

 --山形県鶴岡市にある実証設備の100倍の生産能力を持つ商業プラントをタイに建設中だ

 「21年に稼働させ、生産能力は年600トンになる。現地は原料のサトウキビなど糖の安定調達ができる。顧客となる日系の自動車部品メーカーなども集積している。人工タンパク質で、プラスチックや炭素繊維に置き換わる素材の共同開発を既に水面下で進めている」

 --本社の海外移転は

 「微生物を使った発酵という日本人になじみ深いやり方で作っている。この分野で世界をリードする数人ほどの研究者は、全員が鶴岡市にいる。全ての要素技術開発は自社で迅速に1カ所で行うべきで、研究開発の拠点はこれからも基幹設備のある鶴岡市で行う。ビジネスが軌道に乗る前なのに、大型資金調達もほぼ国内でまかなえている。支援してくれた国や地域に恩返しもしたい」

【プロフィル】関山和秀

 せきやま・かずひで 2001年慶応大環境情報学部入学。4年生だった04年9月よりクモ糸人工合成の研究を開始し、博士課程在学中の07年9月に「Spiber(スパイバー)」を設立。世界初の合成クモ糸繊維の量産に成功。持続可能な社会の実現に向け、原料を枯渇資源に頼らない構造タンパク質素材の産業化を目指す。東京都出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus