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住友化学 事業のシナジー高め総合化学突き詰める

 □住友化学社長・岩田圭一さん

 --社長就任から2カ月以上たった

 「農薬や医薬品、電子材料、石油化学など多くの事業を傘下に抱える『間口の広さ』を改めて感じている。それに3万人を超える従業員や顧客のことを考えると、職責の重さも日々感じている」

 --世界経済の先行き不透明感が増している

 「確かに不透明感が増しており、数え切れないほどあるリスク要因をヘッジしながら経営するのは相当、難しい。ただ、一方でデジタルやバイオを中心に技術革新が進んでいる。この2つは化学と相性がいい。しかも、ここにきて企業に社会的課題解決への貢献が求められるようになっている。化学メーカーの出番だと感じる」

 --就職活動などで化学業界の人気が高まっている

 「人気が上がれば人材が集まりやすくなり、新製品も生み出しやすくなる。新規事業の育成を目標に掲げる当社にとって、人材は欠かせない要素だ。私は特に多様性を重視している」

 --就任と同時に新中期経営計画が始動した

 「まず前中計の3年間で実施した投資の成果を出したい。今回は前中計より500億円多い7000億円の投資を打ち出したが、それも厳選して実行する。研究開発費用も4900億から5400億円に増やした。(巨額の開発費がかかる)医薬品を含むとはいえ、同業他社よりもかなり多い。ここが次の事業のタネを見いだす源泉になる」

 --今後も総合化学にこだわるのか

 「複合企業としての価値が、各事業の価値の合計より小さいことを『コングロマリットディスカウント』というが、私はむしろ総合化学を突き詰め『コングロマリットプレミアム』を実現したい。技術や製品が多い方が、事業同士のシナジー(相乗効果)を期待できる。ただ、そのためには一つ一つの事業が強くないといけない」

【プロフィル】岩田圭一

 いわた・けいいち 東大法卒。1982年住友化学工業(現住友化学)入社。2010年執行役員、18年専務執行役員などを経て、19年4月から現職。大阪府出身。

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