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新国立競技場 ロンドンスタジアムの多目的展開を模範に (1/2ページ)

 さる6月29、30の両日、ロンドンで大リーグ(MLB)初の公式戦が行われた。MLBの歴史的な欧州進出第一歩にふさわしく、人気のヤンキース対レッドソックス戦が組まれた。(産経新聞客員論説委員・佐野慎輔)

 会場のロンドンスタジアムには2試合で11万8718人の観客が詰めかけた。6万人収容だから超満員である。米国、カナダ以外でのMLB公式戦はメキシコ、日本、プエルトリコ、オーストラリアに続く5カ国目。野球が盛んではない地域での初開催は成功したといっていい。

 陸上トラックを保存

 取材した僚紙サンケイスポーツの山田結軌記者はロンドン市民の反応や不慣れなスタッフの様子にこう記した。「野球そのものの人気と認知度はまだ低い」

 それでもMLBはスタジアム横の陸上用サブトラックで体験イベントを催すなどファン開拓に努めた。来年6月にはカブス対カージナルス戦を再びロンドンで開催する予定。貪欲な世界戦略の一端が垣間見える。

 ここまで書きながら、実は私の関心はロンドンスタジアムにこそある。いうまでもなく2012年ロンドン・オリンピックのメインスタジアム。その後、サッカーのイングランド・プレミアリーグ、ウエストハムのホームグラウンドとして使用され、15年のラグビー・ワールドカップや17年の世界陸上競技選手権の会場ともなった。

 オリンピック後に改装されたが、完全な球技仕様とはせず、陸上トラックを残したことに注目したい。このトラックが陸上競技大会の開催をはじめ、多目的使用を可能にしたのである。

 今回のMLB公式戦開催にあたり、MLBはトラックの上にフランスから持ち込んだ約1万3200平方メートルの人工芝と、米本土から船で運んだ約700トンの土や粘土を敷き詰め、両翼99メートル、中堅まで117.4メートルの野球場を造り上げた。3週間の突貫工事による変貌である。柔らかすぎたマウンド、広すぎるファウルゾーンはご愛嬌(あいきょう)。来年の開催ではもう少しうまくやるだろう。

 大事なことは、それを可能にしたのが陸上トラックだという点である。ロンドンスタジアムのフレキシブルな発想の原点であり、東京都新宿区、渋谷区にまたがり建設が進む20年大会のメインスタジアム、新国立競技場の大きな手本ともなろう。

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