トップは語る

「ユニコーン」20社以上輩出目指す

 □デロイトトーマツベンチャーサポート社長・斎藤祐馬

 --デロイトトーマツベンチャーサポートが産声を上げてから来年でまる10年となる

 「日本経済がリーマン・ショックで大きなダメージを受けた直後のため、ベンチャー企業にはお金が集まらないし、大企業も余裕がない。何より当時は政府のベンチャー企業に対する支援がなかったし、『何となく、うさんくさい』という世間のイメージが強かった。そんな中、ベンチャー企業に関心を向けるべく、毎週木曜日の早朝に新進気鋭の起業家が大企業の担当者を前に事業計画などを発表する『モーニングピッチ』を開くなど、ベンチャー企業への理解を深める取り組みを続けてきた」

 --現在、ベンチャー企業に対する産業界の注目度は大きく向上した。だが、ベンチャー企業への支援には課題も多い

 「日本のベンチャー企業のほとんどは国内の市場しか見ていない。本気で海外を狙うベンチャー企業が非常に少ない。言葉の壁もあるが、それ以上に海外の大企業との接点が日本のベンチャー企業にはないのが残念だ。東京都など自治体の中には、日本の起業家と海外の大企業や投資家を結びつける取り組みを始めているところもあるが、まだ道半ばだと思う」

 --デロイトトーマツベンチャーサポートが今後やるべきことは

 「日本の1人当たり国内総生産(GDP)を上げるには生産性の向上が不可欠だ。そのためにはもっと数多くのベンチャー企業を生み出し、大企業とのイノベーションを起こすことが求められる。そのためには世界で戦える、『ユニコーン』と呼ばれる時価総額10億ドル(約1080億円)規模のベンチャーを20社以上は輩出したい。日本の強みであるものづくりに強い『BtoB』のベンチャー企業が世界で思い切り活躍できる舞台を整えたい」

【プロフィル】斎藤祐馬

 さいとう・ゆうま 慶大経卒。2006年監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)入社、10年トーマツベンチャーサポート(現デロイトトーマツベンチャーサポート)の事業立ち上げに参画、11年公認会計士登録、15年同社事業統括本部長、19年6月から現職。愛媛県出身。

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