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アスクル、ヤフーに反発強める 岩田社長「成長事業が乗っ取られる」 ヤフーは業績低迷回復を主張

 通信販売大手アスクルが筆頭株主のヤフーへの反発を強めている。アスクルの岩田彰一郎社長は18日に会見し、ヤフーがアスクルのインターネット通販事業の事業譲渡を求め、岩田氏の社長再任を否定したことなどについて、「成長事業が乗っ取られると思った」との見解を示した。ただしヤフーは同日、社長再任に反対するのは「数年にわたる業績低迷を早期に回復するため」として、通販事業の譲り受けを意図したものではないと主張。見解のすれ違いが表面化している。

 両社はアスクルの個人向けネット通販「ロハコ」事業をめぐり対立。アスクルはヤフーからの事業譲渡要請を拒み、提携解消も申し入れ。一方、ヤフーはアスクルが8月2日に開く定時株主総会での岩田氏再任への反対を表明している。

 岩田氏の旗色は悪い。アスクルの約45%の株式を保有するヤフーに約11%の株を持つ事務用品大手プラスも同調しており、「約60%にあたる株主からの意見を重く真摯(しんし)に受け止める」と述べざるを得ない状況だ。

 だが、岩田氏は会見で、アスクルが平成24年4月のヤフーとの資本提携の際に結んだ上場会社としての独立性を担保する契約にヤフーが「明らかに違反している」と強調。両社の関係は良好だったが、昨年6月に川辺健太郎氏がヤフー社長に就任し、「関係が変わってきた」と指摘した。

 対立の火種となったロハコ事業はアスクルがヤフーの支援を受け、24年10月に開始。ただ、31年5月期には営業損益が約92億円の赤字となるなど、アスクル本体の収益を圧迫する。ヤフーはテコ入れが必要として事業譲渡を求めたが、岩田氏は「残ったアスクルは価値が下がる」と主張する。

 一方、ヤフーは18日の発表で、アスクルからロハコ事業を譲渡する意向はないと回答を受けたため、今後譲渡を申し入れることはないと表明。岩田氏の再任反対は業績改善に向けた経営刷新が目的とし、アスクルとの見解の違いが浮き彫りになった。ヤフーから後任社長は派遣せず、「取締役兼最高執行責任者の吉田仁氏か吉岡晃氏が就任されるものと考えている」という。

 今後はヤフーに提携契約の違反があった場合にアスクルがヤフーに株を手放すことを請求できる条項が行使されるかが焦点。岩田氏は「検討している」としたが、ヤフーは「株式を譲渡する予定はない」との姿勢を示した。(万福博之)

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