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ソフトバンクG、2号ファンドの運用規模11・7兆円 AI関連の成長企業に投資加速

 ソフトバンクグループ(SBG)は26日、運用額10兆円という巨大な規模で注目を集めた「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の2号ファンドを設立すると発表した。米アップルなど10社以上から出資を取り付け、運用規模は1080億ドル(約11兆7千億円)となる。平成29年に設立した1号ファンドはすでに資金をほぼ使い果たしており、SBGは新たな資金を調達し、今後も人工知能(AI)関連の成長企業への投資を加速する。

 2号ファンドにはSBGが380億ドル(約4兆1千億円)出資。アップルのほかみずほ銀行など国内3メガ銀行、米マイクロソフト、台湾の鴻海精密工業をグループの中核とする鴻海科技集団など、国内外の大手企業や大手金融機関など計13社が初回の出資者として名を連ねた。ほかにも台湾の大手投資家や、SVFの経営陣も参加する。

 また、他の投資家とも出資に向けた協議が続いており、運用規模は11兆7千億円から増加する見込みだという。1号ファンドに出資したサウジアラビアの政府系ファンドなどとも交渉を続けているもようだ。

 2号ファンドの規模は、世界のベンチャーキャピタル(VC)の年間調達額(約8兆6千億円)を大幅に上回る。1号ファンド同様、AI関連の世界のユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の未上場企業)に集中して投資する方針だ。

 1号ファンドは当初、5年程度の投資期間を想定したが、ライドシェア大手の米ウーバー・テクノロジーズや中国の滴滴出行、オフィスシェア大手ウィーワークを運営する米ウィーカンパニーなど約80社に出資して、2年間で資金をほぼ使い切った。1号ファンドに出資する投資家の利回り(内部収益率)は45%と世界のVCの平均とされる10%を大きく上回っており、こうした投資実績の高さも世界の投資家から2号ファンドに巨額の資金を呼び込んだ。

 SBG子会社で米携帯電話4位のスプリントと3位のTモバイルUSの合併計画が実現すれば、スプリントへの出資比率は84%から27%に下がり、スプリントの位置づけはSBGの子会社から持ち分法適用会社に変わる。この場合、SBGはスプリントが抱える4兆円強の有利子負債を連結決算から切り離すことができ、経営資源を投資事業に集中する戦略を加速できる見通しだ。(万福博之)

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