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カギはUNIVASと五輪…戻すべき「大学スポーツの教育的価値」 (3/3ページ)

 19世紀中、英国のパブリックスクールでは、産業革命で台頭した新興のブルジョア階級の教育要求を背景に、「課外」における「遊び」が教育的活動として認められ、スポーツやゲームが野外教育の重要な構成要素となり教育的価値を促進した。

 人間教育希薄化

 わが国でも体育・スポーツの礎を築いた大日本体育協会(現日本体育協会)初代で初のIOC(国際オリンピック委員会)委員となる嘉納治五郎氏が「体育・スポーツによる人間教育」に尽力した。しかし、今般の社会で体育・スポーツの教育的価値が年々希薄化していく。

 メディアスポーツによる低年齢化するアスリートたち。プロスポーツ化が進む中での労働力搾取的なインターンシップの横行。スポーツが教育の弊害になっているのではないか。また決して順調とは言い難い経営状況のチームがビジネススクールを開講する。まさにスポーツマネジメント教育が問われている。今年設立されたUNIVAS(ユニバス、大学スポーツ協会)と来年開催される東京五輪によってスポーツの教育的価値と機能が戻ることを期待してやまない。

【プロフィル】川上祐司

 かわかみ・ゆうじ 日体大卒。筑波大大学院修士課程スポーツシステム・健康マネジメント専攻修了。元アメリカンフットボール選手でオンワード時代に日本選手権(ライスボウル)優勝。富士通、筑波大大学院非常勤講師などを経て、2015年から帝京大経済学部でスポーツマネジメントに関する教鞭を執っている。著書に『メジャーリーグの現場に学ぶビジネス戦略-マーケティング、スポンサーシップ、ツーリズムへの展開』(晃洋書房)がある。54歳。大阪府出身。

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