IT

中国で受け入れられた信用スコアは、なぜ日本で炎上するのか? (4/4ページ)

 その他の日本のスコアリングサービス

 現在、日本で話題性のあるスコアリングサービスとしては、ほかにJ.ScoreとLINE Scoreがある。

 J.Scoreは、みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社が提供するサービスである。年齢、性別、学歴、勤務先の業種と職種、正社員かどうか、持家かどうかなど18種類の情報を入力し、AIによってスコアが判定される。最高点は1000点。これによって融資の金利が決まる。融資の用途は教育資金がメイン。AIは将来性まで加味してスコアリングするという。

 LINE Scoreは2019年6月にリリースされた新しいサービスで、LINE Financialとみずほ銀行、オリエントコーポレーションの合弁会社が提供する。スコアリングは年齢、性別、未既婚、子供の有無、住居タイプ、職業、業種、会社規模、年収、社会保険の種類といったアンケートによって取得する情報と、LINEプラットフォーム上での行動特性から行われる。今後はLINEポケットマネーという融資サービスの融資条件に、LINE Scoreが使われる予定である。融資額の上限や利率がスコアによって決まる。

 これら2つのサービスは、どちらも融資に連動させるという意味で、従来の信用概念に近い。したがって、Yahoo!スコアより受け入れられやすいだろう。

 これらのサービスは今後、消費者金融やカードローンといったキャッシングと競合してくる。スコアリングはこれまでよりもきめ細かく個人の信用度を測るサービスなので、これまでよりも有利な条件で融資を受けられる人が多数出てくるだろう。そのとき、「他の会社でも信用スコアに基づいて有利に融資を受けたい」というニーズが出てくれば、信用スコアが他社に提供されるベネフィットが出てくると思われる。

 信用スコアの「信用」という言葉はいるのか?

 もし信用スコアを「買い物をすればするほどスコアが上がるもの」として割り切って打ち出していくのであれば「信用」という言葉はいらないかもしれない。「信用」という言葉を使うと「信用できない」というネガティブな言葉を生み出すからである。単に「買い物スコア」など身近なネーミングにした方がいいのではないか。ちなみに芝麻信用は中国語で「ゴマ信用」という意味で、「ゴマ」にはかわいい印象がある。

 住宅ローンやカードのキャッシングなどお金を借りる時の「信用」は日本でもすでに浸透している。そういった場面だけは「信用スコア」でいい。ただ、それ以外の場面で信用という言葉は過剰に重たいイメージを与えてしまう。

 いずれにしても、スコアにはいろいろな種類があるのに一緒くたにして議論しているのが混乱の原因のひとつだ。日本でも適切で便利なサービスとして、信用スコアが普及してほしい。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus