生かせ!知財ビジネス

本質は“みんなハッピー”にあり

 □工業所有権情報・研修館 久保浩三理事長

 特許庁と連携して特許情報提供サービスや知財総合支援窓口での相談サービス、知財研修などを手掛ける工業所有権情報・研修館(INPIT、東京都港区)。このほど着任した久保浩三新理事長(前・奈良先端科学技術大学院大学教授)に抱負を聞いた。

 --まずは就任のご感想を

 「就任に際して、いろいろな方々から声をかけられた。特に、知財活用による日本の活性化について期待する声には、与えられた責任の重さを痛感している」

 --知財との接点は

 「学生時代に特許事務所で働いた。1980年に大阪府に就職後、87年に弁理士試験に合格。府立特許情報センターでは特許庁の事業を担当したこともある。大学勤務時代を含め三十数年間、知財に携わってきた」

 --知財をどう捉えているか

 「特許は取って終わりではなく始まり。事業には争いもあるので知財を扱うには技術理解力に加え交渉力が必要。だが金もうけだけの道具として捉えているわけではない。アイデアを使い、話し合うことで、生活を豊かにし、みんながハッピーになる。そこに知財の本質はある」

 --独占だけが目的なら、人々の創造意欲は減退する

 「グローバル化、デジタル化、気候激変化、高齢化、これら社会的課題の解決には、いろいろなアイデアを出していかねばならない。近年、GAFA(米IT大手4社)が莫大(ばくだい)な収益を上げる一方、日本企業は稼げていないといわれる。INPITには良いアイデアを持った中小企業が世界へ出て、収益を上げてもらうための支援をする使命がある。だがもうかればいいということではない。われわれは、みんなで喜んでもらえるような良いアイデアに着目し、それらをカバーできる知財形成の支援をしていきたいと思っている」

 --役職員にはどんな話をしたか

 「アイデアを実現できる組織になることを掲げた。それにはINPIT自身がアイデアの宝庫になることだ。職員へはアイデアを積極的に出すよう指示した。既に100件以上集まったが、20件ほどを次年度に始まる第5期中期目標(4年間)で実施したい。試行として近々、各地の地域団体商標のカードを作り、イベントで配る予定だ」

 --ライフワークは何か

 「当然、知財。知財でみんながハッピーと思える日本にしていきたい」(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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