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「国に帰れ」は白人優越思想の合言葉 よみがえる日系人排斥の記憶 (1/2ページ)

 再選を目指す来年の大統領選に向け、白人層の支持固めに動くトランプ米大統領が、非白人の政敵攻撃を強めている。政権を批判する民主党の女性下院議員4人に「米国が嫌なら国に帰れ」と言い放ち、黒人の有力議員や指導者も非難した。一連の発言の中心には人種差別主義がある。

 私は太平洋戦争中の1942年夏、カリフォルニア州の日系人強制収容所で生まれた。家族とアリゾナ州の収容所に移送され、幼児期を過ごした。トランプ氏の言動の中でも、度重なる人種蔑視発言にはとりわけ苦々しい思いを抱く。

 随分前になるが、米国のテレビやラジオに出演し、日系人収容の不当性を批判したことがある。スタジオにいた一部の見学者が私に対し「国に帰れ」とわめき立てた。その時でさえ、大統領が連邦議員に同じ言葉を投げ付ける日が来ようとは思ってもみなかった。

 今回の問題をめぐり、忘れてはならないことがある。「国に帰れ」という表現は、白人の米国人には使われてこなかったという点だ。

 なぜか。黒人やヒスパニック(中南米系)、アジア系などのマイノリティー(人種的少数派)は、欧州などからの白人移民が米社会の正当な一員であることを理解しているからだ。

 もちろん少数派-アフリカから連れて来られた奴隷や中国から移り住んだ鉄道労働者、日本から来た農民ら-も米社会の一員である。ただ、白人より少ないため、異端の新参者として差別されがちだった。

 つまり「国へ帰れ」という言葉は、有色人種に対して使われてきた白人優越主義の合言葉なのだ。多様性が脈打つ米社会に本来、そのような思想の居場所はない。合衆国憲法の下では、日系米国人と英国系米国人は完全に平等である。

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