道標

「国に帰れ」は白人優越思想の合言葉 よみがえる日系人排斥の記憶 (2/2ページ)

 米国は母国で圧政や貧困に苦しむ人々の避難先となってきた。そのシンボルとして、玄関口のニューヨークで数多くの移民を出迎えてきた自由の女神像の台座には、詩が刻まれている。

 「疲れ果て、貧しさにあえぎ、自由の息吹を求める群衆を、私に与えたまえ…」

 その「移民の国」では欧州系の白人移民が減り、ヒスパニックやアジア系が急増している。トランプ氏を支持する白人は少数派に転落する日をひどく恐れている。

 トランプ氏はそうした心の暗部につけ込み、メキシコなど中米からの不法移民を「犯罪者」「強姦魔」「麻薬密売人」などと呼び、取り締まりを強めてきた。

 米国の収容施設には子供を含め、多くの越境者が今も留め置かれている。その光景は、日系人を敵性市民として排斥し、強制収容した国家の重大な不正義の記憶を呼び起こす。

 トランプ氏と緊密な関係を構築するため、安倍晋三首相は尽力してきた。しかし、日米の関係は経済や安全保障にとどまらない。同盟は何よりも、民主的な価値や制度を守り続けてきた。

 トランプ氏はその意味で、長年にわたって築き上げた両国関係の土台をも傷つけている。公職にある者としての責任感と道徳心を著しく欠いており、機嫌を取り続ける必要はもはやない。

 

【プロフィル】DANIEL・OKIMOTO

 ダニエル・オキモト 米スタンフォード大名誉教授。日系2世の米政治学者。プリンストン大卒。ハーバード大や東大でも学び、ミシガン大で博士号。米日カウンシルの評議員会会長などを歴任し、日米交流に尽力。現在は民間団体シリコンバレー・ジャパン・プラットフォームの共同議長も務める。主著に「仮面のアメリカ人」など。

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