テクノロジー

AIを活用「無人茶摘み機」 鹿児島県と県内機械メーカーが開発

 鹿児島県と県内の機械メーカーが茶農家向けに、人工知能(AI)とセンサーを活用して無人で走り、茶葉を収穫する「無人茶摘み機」を開発し、販売を始めた。価格は約1000万円。人が乗る従来型の800万円程度より高額だが、高齢化による人手不足に直面する農家が省力化でき、頼もしい“助っ人”になるとの期待が出ている。

 鹿児島県の荒茶生産量は、都道府県別で静岡県に次いで2番目の本場。近年はペットボトルに入った低価格の茶の消費が拡大し、高級な茶葉で急須を使って飲む需要の低迷を背景に、県産茶の単価は低迷している。無人機を導入すれば運営コストを低減し、競争力を向上できる可能性がある。

 無人機は松元機工(鹿児島県南九州市)と日本計器鹿児島製作所(同市)が県と協力して開発。タッチパネル式画面で収穫するうねの数や、動き方を入力すれば稼働し、搭載した超音波センサーなどでうねを認識して茶葉の収穫を始める。

 AIを生かして自動的に進行方向を補正しながら走り、収穫かごがいっぱいになると自動でうねから離れて園外へ出る。人はかごから茶葉を取り出す作業などに専念することができ、1人で2台の作業を管理できる。

 無人機は2017年に茶摘みの技術を競う地元の大会に参加。有人機と比べ、うね中心線からの車体のずれが小さく、移動時に生えている茶の木に傷を付けるなどのトラブルも少なかった。

 このため農家からの注目度は高く、鹿児島県内の農家が2台を今年7月に試験導入した。県農業開発総合センター茶業部の深水裕信栽培研究室長は「鹿児島の技術で全国の茶農家に貢献したい」と意気込んでいる。

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