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「ウィルキンソン」10年で13倍 炭酸水の市場が急拡大したワケ (1/4ページ)

 炭酸水の市場が活況だ。中でも、市場シェアの約半分を占める「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)は、2011年にペットボトル販売を始めてから爆発的に売り上げを伸ばしている。なぜいま、炭酸水が多くの人に飲まれているのか――。

 ブランド100年を超えて“モテ期”到来

 スーパーやコンビニなどの小売り店頭で、透明な「炭酸水」の棚が広がったことにお気付きだろうか。「清涼飲料水」市場全体が前年並みの中で、伸びはすさまじい。特に絶好調なのが、炭酸水市場で約5割のシェアを持つ、アサヒ飲料の「ウィルキンソン」だ。

 同ブランドは2008年から18年まで、11年連続で伸長し、2015年3月~19年7月まで53カ月連続で前年実績増を達成した。競合他社も成長市場に目をつけて新商品を投入した結果、店頭の棚が「線」から「面」へと広がった。炭酸水の市場規模は2018年度で約433億円(金額ベース。前年比122%)に拡大している。

 後述するが、ウィルキンソンは115年の歴史を持つブランドだ。だが、近年までは地味な存在だった。マーケティングの世界では「ブランドは人格を持つ」と言われるが、人生に例えると、100歳を過ぎてから“最高のモテ期”が到来したことになる。

 なぜ、そんなことが可能となったのか。消費者心理の視点で考察したい。

 「強刺激」と「さっぱり」で、よりリフレッシュ

 「好調の要因はいくつかあります。まず炭酸水は味がないゆえに、飲んだ瞬間にダイレクトな刺激がある、ど真ん中の飲料であること。消費者が、炭酸飲料を飲んでリフレッシュしたい思いは昔からありましたが、ストレス解消への思いは、より強まったと感じています」

 ウィルキンソンのブランドを担当する本松達朗氏(アサヒ飲料・マーケティング本部マーケティング一部炭酸グループ副課長)はこのように説明する。

 実は「炭酸を飲むのはストレス解消」という話は、数年前に別の取材で聞いた。「1本200円を超えるエナジードリンクがなぜ売れるのか」を聞いた際に出た言葉だった。ストレス社会の現代で、炭酸に求める思いは、より高まったように思う。本松氏はこう続ける。

 「商品は『強刺激』も打ち出しています。当社がお客さまに『炭酸に求める価値』を聞いたところ、『刺激があること』『口の中がさっぱりすること』という声が多くありました」

 アサヒ飲料は「ミネラルウオーター」も「炭酸飲料」も展開するが、健康意識の高まりと、微妙な消費者心理も見逃せない。「ミネラルウオーターでは少し物足りない(飽きてしまう)」「炭酸飲料はおいしいけど糖分が心配」という人の飲用スイッチもあるようだ。

 ちなみに「ウィルキンソン タンサン」(赤ラベル)や「同 タンサン レモン」(青ラベル)など全シリーズの「栄養成分表示」(100ミリリットル当たり)は、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量がいずれも「0」表示となっている。

 「肉料理にも合い、食事の味を邪魔しません、という訴求もしています」(本松氏)

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